ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ザ・スクエア 思いやりの聖域

2018-04-24 22:57:05 | さ行

 

きました!究極の「いや~な映画」!(笑)

 

「ザ・スクエア 思いやりの聖域」80点★★★★

 

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現代のスウェーデンに暮らす

クリスティアン(クレス・バング)は現代美術館のキュレーター。

 

シャレたスーツを着こなす“勝ち組”然とした彼は

「ザ・スクエア」という新しい作品の公開を発表する。

 

地面に正方形を描いたそれは

「このなかでは、すべての人が平等の権利を持ち、公平に扱われる」という

社会的問題意識を持つ、参加型のアートだ。

 

そんなある日、クリスティアンは街中で

大声で助けを求めてきた女性に手を差し伸べる。

が、そのときに、なんと財布と携帯電話を盗まれてしまった!

 

善意の行いをしたのに、なんじゃこの仕打ち!

怒りに燃えた彼は、ある手段で犯人を探しだそうとするのだが――?!

 

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「フレンチアルプスで起きたこと」で世間をどひゃーとひっくり返した

スウェーデンの鬼才・リューベン・オストルンド監督の新作は

 

きました!

究極の「嫌シネ」(いや~なシネマ。ワシ命名。笑)。

 

テイスト的には「フレンチアルプス~」を継承し、

グサッという鋭さで

誰もが「見ないようにしている」人間の本音や本質をあぶりだすもの。

まあ、いや~な映画の極地、なんだけど

これが…おもしろい!

 

皮肉と黒いユーモアで

人間の偽善、格差、差別や偏見、

SNSやセルフィーに代表されるセルフィッシュ(利己主義)の風潮、

「自分さえよければいい」というヒンヤリした世界の感覚。

そんな

人のいや~な面や、世の中の歪みをさらけ出させんと

これでもかと、観客を攻撃してくるんですねえ。

 

そして、その状況のリアルさゆえ

自嘲気味に「フッ」、いや、「ブッ」と笑ってしまうような

居心地悪さと、おかしさ。

 

先のAERAで

「いや~な映画」特集でもリューベン監督にご登場いただいておりますが

想像をはるかに超えたクレバーな方で感動いたしました。

 

監督も「ハッピーエンド」

そして「ラブレス」「聖なる鹿殺し」に、共通点があると感じてるとおっしゃってくださっていて

 

特にハネケ監督の「コード・アンノウン」(00年)がその最高峰だと。

あと

「ありがとう、トニ・エルドマン」(17年)にもシンパシーを感じると。

ありがとう、監督!ワシ、そこにシンパシー感じます!ww

 

★4/28(土)から全国で公開。

「ザ・スクエア 思いやりの聖域」公式サイト


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