ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

浅田家!

2020-10-01 23:56:04 | あ行

中野量太監督らしい、やさしさと少しのビターが詰まってる。

 

「浅田家!」73点★★★★

 

***********************************

 

三重県の、ある町に暮らす浅田一家。

 

マイペースな次男坊・政志(二宮和也)は

幼いころ、写真好きの父(平田満)から

カメラをゆずってもらい、写真に夢中になる。

 

なにかと助けてくれる兄(妻夫木聡)と

一家の大黒柱な母(風吹ジュン)に見守られて成長した政志は

やがて写真の学校で、写真を勉強することに。

 

だが、なかなか撮るべきものを決められない。

 

そんな折、あることから政志は

「浅田家」にとって、忘れられない、ある1シーンを

家族全員で再現することを思いつく。

 

「ええ??」といいつつやってくれた家族の協力で、

誰もやったことのない

ユニークな作品を作り始める政志だったが――?!

 

 

***********************************

 

 

スチャスチャスチャ♪のリズムに乗って描かれる

ちょっと変わってて、愛おしい

家族と、そのなかで育まれた写真家の物語。

 

実在写真家をモデルにした物語で

「湯を沸かすほどの熱い愛」(16年)「長いお別れ」(19年)

中野量太監督らしい

やさしさとあたたかさに満ちていていました。

 

なによりまず実在の浅田家が

おかしすぎるというか(笑)

 

主人公である次男を中心に

迷惑かけられつつも、弟がかわいい兄(演じるは妻夫木聡)、

とらえどころのないお父さん(平田満)と、

シャキシャキしてて一家の大黒柱たるお母さん(演じるは風吹ジュンさん)。

 

この家族のゆるーい団結ぐあいが、実にいいあんばいで。

 

息子のリクエストに応えて

一家全員で消防士とか、ヤクザと極妻、とか

おかしすぎるコスプレを許容し、のってくれるんですよね。

なにより、けっこう本人たちが楽しそうってのがね(笑)

 

そんな家族の肖像を残しただけでも価値がある。

(実は観ながら「うちの家族もやりそう……」とか思ってしまった(笑)

うちもちょっと特殊なんだろうなア)

 

また、この映画は

浅田さんの発表してきた写真を

このキャストで再現してるのも大きなポイント。

みているだけで可笑しくなってしまうんですよ。

 

ぜひ、実際の写真も見ていただきたいと思います。

 

家族の話だけにフォーカスしてよかった気もするけれど

後半、東日本大震災のパートも

忘れてはいけない、大事な記憶ですよね。

 

ラスト、実は・・・のオチも

割と好きっす(笑)

 

★10/2(金)から全国で公開。

「浅田家!」公式サイト

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする