これは
「存在のない子供たち」(19年)と対をなす作品だなあと。
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「少女は夜明けに夢をみる」72点★★★★
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イランの少女更生施設に収容された少女たちを写したドキュメンタリー。
撮影許可に7年をかけたそうで
かなり貴重な記録だと思う。
しかもテーマは重いのに
なんともやさしい光に満ちているのが、いい。
まず冒頭、雪景色のなかで無邪気にはしゃぐ少女たちが映し出される。
何も知らずに見ていると、本当に仲良し学生寮の風景のようで
ちょっと面食らいます。
そんななかで、何人かの少女たちが
自分について、犯した罪について、話し始める。
その告白は、やはり、重い。
17歳にして2歳の子を持つ少女、おじに性的虐待を受けてきた少女、父を殺した少女・・・・・・
ほとんどの少女が
近親者からの虐待やレイプを経験し、
劣悪な家庭環境のなか、盗みやドラッグで逮捕されていることがわかってくる。
彼女らの状況はつらく厳しいんですが
でも、映画はそういうトーンで描こうとしていない。
カメラに向かって話す少女たちは素直で、屈託なく、愛らしくもあって
そして
似た経験を持つものとして、収容施設のなかで互いをいたわりながら
支え合って日々を過ごしているんですね。
そんな彼女たちの横顔を、メヘルダード監督、よく切り取れたなと思う。
16歳の娘がいるという監督にとって
相当につらい取材だったと想像できるから。
それに
「育てられないのに、なぜ産んだのか」と親を語る少女の言葉が
まさに「存在のない子供たち」の少年ゼインと同じで、びっくりした。
そういえば「存在のない~」のナディーン・ラバキー監督も
やはり刑務所などで、子どもたちへの取材を重ねた、と言っていた。
そして、監督はこうも言っていたっけ。
「彼らはみな、話したがっていた。自分たちの状況を知ってもらいたがっていた」と。
彼女たちも、そうだったのかもしれない。
虐待や貧困という環境が、悲劇や負を連鎖させる状況は
どこの世界でも同じ。
彼女たちの状況は、我々にも地続きだと
つくづく思いました。
実際、この映画のあと、来年1月に公開される
日本の刑務所に初めてカメラを入れたというドキュメンタリー
「プリズン・サークル」(坂上香監督)を観て、そのリンクに驚いたんです。
罪を犯した青年たちが語る、子ども時代や家庭環境に
通じるものがあるんですよね・・・・・・。
★11/2(土)から岩波ホールほか全国順次公開。