ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

シャーリー&ヒンダ ウォール街を出禁になった2人

2015-09-15 23:49:38 | さ行

アメリカの不都合な部分が
いろいろバッチリ写っちゃってるドキュメンタリー。

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「シャーリー&ヒンダ ウォール街を出禁になった2人」69点★★★☆


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アメリカ・シアトルの小さな町に住む
シャーリー(92歳)とヒンダ(86歳)。

二人は30年来の親友で
いつもお茶を飲みながら、いろいろ語り合う仲。

いま二人のトピックは
「アメリカの不況」の状況。

サブプライム問題で家を失ったとおぼしき人々が
公園でテント生活を行っている様子を見つつ、

それでもテレビは
「経済成長!」「消費拡大!」を訴える。

なーんか違和感を感じた二人は
「経済成長をなぜしなくてはならないの?」の素朴な疑問を持ち、

大学教授や経済アナリストなど
いろいろな専門家に話を聞いていく……というドキュメンタリー。

92歳と86歳?!のコンビには驚くけれど
二人はGoogleもYouTubeも使いこなすわ、
(孫娘、いやひ孫か?の手も借りてるけどね)

電動車椅子でどこでも行くは
かなりアクティブ(笑)。

そして彼女たちの突撃はあまりに非力すぎて
別の意味でハラハラしどおし。


さらに、二人が聴講した大学の授業のあきれた実態や
ウォール街でシャーリーを罵るSPなど
(92歳のお年寄りに、だよ?

アメリカの不都合な部分が
思い掛けずバッチリ写っちゃってるのが
この映画のミソ。

「経済問題」の答えだけでなく
彼女たちの行動自体が

成長神話を信じて疑わず走ってきた
アメリカ人の問題の根深さを考えさせる、という

なかなかできた映画だと思いました。

ただ、結論は
「経済成長」に乗るのをやめたワシみたいな人間から見ると
割とフツーに思えるものではある。

あと見ると
「監督はどうやってこの二人を見つけたの?」が
すごく気になると思うんですが

資料によると
そもそも二人は、いろんな活動をしている人らしい。

映画にそこが描かれず
「街のおばあさんが、こんなことしちゃった!」的なノリに
やや意図的にしている感じが
頭の堅いワシにはちょっと残念だったかな。

でも、おもしろいっすよ。


★9/19(土)からヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国で公開。

「シャーリー&ヒンダ ウォール街を出禁になった2人」公式サイト
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