ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ゲーテの恋 ~君に捧ぐ「若きウェルテルの悩み」~

2011-10-30 20:10:31 | か行

『若きウェルテルの悩み』
読んだの、何十年前だろ……。


「ゲーテの恋~君に捧ぐ『若きウェルテルの悩み』~」69点★★★☆


文豪ゲーテの名作
『若きウェルテルの悩み』。

本を地でいく、
ゲーテの本人の恋を描いた作品です。


1772年、ドイツ。

作家を目指していたゲーテは
しかし親の猛反対に合い、

しぶしぶ裁判所の実習生として
働くことになる。

そんなとき、彼は舞踏会で
元気な女性シャルロッテと出会う。

第一印象は互いにサイアクな二人だったが、
いつしか二人は恋に落ちていた。

が、シャルロッテに
ある縁談が持ち上がる。

しがない見習い法律家のゲーテは、
彼女をあきらめるしかないのか――?!



原題「ゲーテ!」の“!”に現れているように、
実に若々しく、快活な恋愛劇です。

史実にとらわれすぎることなく、
やんちゃでお調子者な若者・ゲーテ像を
しっかりデザインしたのが正解。

監督は「アイガー北壁」のフィリップ・シュテルツェル氏。
この人、けっこう手堅いすよ。


自分の希望する道に進めず、
親の命令で
法律家見習いをするなんて、

いまの若者と変わらない感じで
微笑ましいし

「若きウェルテルの悩み」を地で行く
悲恋に身を焦がしても、

決して湿っぽくはなく、
ラストまで明るい。


その恋が実らなかったからこそ、
本を書くことができ、
創作の道に進めた彼の姿に、

結果論とはいえ
「人生の不運を嘆くばかりじゃダメよ」との
教えも感じられました。


にしても。

野外でたわむれる恋人たちに
突然のにわか雨。

雨宿りして、そしてキス……という流れとか
「ベッタベタやん!」とか、一瞬突っ込んじゃいましたが、

いや、まてよ?
こっちが恋愛モノの古典で
原典なんだから、当たり前か!(笑)


★10/29からTOHOシネマズシャンテほか全国順次公開。

「ゲーテの恋~君に捧ぐ『若きウェルテルの恋』~」公式サイト
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