海外への武器輸出を禁じた「武器輸出三原則」について北沢俊美防衛相が「見直し」発言を繰り返している。憲法9条と25条という二つの条文は、日本国憲法を象徴するような地位を占めているだけではなく、現代日本社会の二大問題である「戦争と貧困」をなくす決定的な位置を占めている。しかし、憲法にいくらすばらしいことが書いてあっても、黙っていては何の力にもならない(渡辺治『憲法9条と25条・その力と可能性』かもがわ出版2009)。憲法9条は政府にやらせてはならないという禁止規定であり、25条は政府にやらせなければならないという義務規定の違いがあるが、憲法を現実の力とするためには、すなわち9条や25条の理念に基づいた社会をつくるためには、改憲を阻止するだけではなく、政治を変えることが不可欠である。つまり、憲法の理念を実現する政府をつくるということだ。
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