プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

沖縄県議会 国外・県外移設を求める意見書 全会一致で可決 政府も怠慢だが本土の人間も怠慢だ!

2010-02-24 19:09:25 | 政治経済
沖縄県議会(高嶺善伸議長)は24日午前、本会議の冒頭で「米軍普天間飛行場の早期閉鎖・返還と県内移設に反対し、国外・県外への移設を求める意見書案」を全会一致で可決した。鳩山政権の腰の定まらない不誠実な姿勢、いまひとつ沖縄県民との連帯に燃えない本土の人間に対し、ついに沖縄県民が業を煮やしたのだ。沖縄の歴史、米軍占領以来の日米安保の歴史を少し勉強すれば、普通の人間であれば、沖縄県民が怒る気持ちをよく理解できるはずである
私は、日本国民を決してバカだとは思わないし、政治的に無知だとも思わない。しかし、安保闘争やベトナム反戦運動、革新自治体をつくり上げてきた世代のエネルギーが今、それらの世代を含めて残念ながら若い人びとに継承されていない。その背景には、少しばかりの理論学習もできない、やりたくないと思うほどに国民が生活に追い詰められ、疲れているという状況がある。政府が怠慢で居れるのは、国民が怠慢であるからである

 普天間基地問題で迷走を続ける鳩山政権の姿勢に沖縄県民がついに怒った。基地と観光と少しばかりの農漁業以外にたいした産業のない沖縄は、基地関連交付金、公共事業が頼みの綱である。日本編入と米軍占領の歴史を思えば、はらわたが煮えくりかえりながら、米軍基地、自衛隊基地の存在に耐えてきた。しかし、最近の鳩山政権の沖縄県民を愚弄した迷走ぶり、米軍基地の重要性を喧しく口にしながら、基地の受け入れには口をつむぐ本土の国民についに堪忍袋の緒が切れた。
普天間代替施設の県内建設を盛り込んだ1996年12月の日米特別行動委員会(SACO)最終報告以降、県議会では県内移設の是非をめぐり議会を二分した対立の構図が続いてきたが、もういいかげんにしてくれと、県内移設反対を県議会の総意として示したのだ
あて先は首相、外務相、防衛相、沖縄担当相、官房長官となっているが、本土の国民にも訴えかけられていることを私たちは、恥ずかしく思わなくてはならない。昨日、私は、関西勤労協の学習会に参加したが、吉井清文会長が、全労連の春闘方針ですら、普天間基地返還問題に触れていないと、さかんに嘆いておられた。安保闘争を経験した本土の人間は、沖縄県民との連帯の意義を痛いほど理解できるはずである。そして、それを若者に引き継がなければならないのだが・・・。
実は、今回の沖縄県議会で、当初、共産党会派は、県内移設に反対する沖縄県民の気持ちはわかるが、それを「県外・国外移設」として、本土国民に押し付けるのは、分断・対立を持ち込むことにならないかを危惧して、退席することを検討していた。しかし、これ以上の県内押し付けを絶対容認できないということで、全会一致の可決となった。

 この問題は、普天間を返す代わりにどこか他のところを差し出しましょうというような鳩山政権の姿勢では、絶対に解決しない。沖縄県内のどこにもっていっても、もはや沖縄県民の我慢の限界を超えている。それでは、日本の本土のどこにもっていくか。海兵隊のような人殺し部隊にみんなが反対するのは当然である。ここは腹をすえて無条件撤去というところに行くほかないのだ。それで沖縄全体が団結する、本土も連帯する、その世論をバックにしてアメリカと堂々と交渉をやるほかないのだ
本土国民と沖縄県民が団結することが、いまほど求められているときはないと思う。私は、米軍占領以来の日米安保の歴史を少し勉強すれば、普通の人間であれば、団結できると思う。

 日米安保条約について、「日本は施設を提供し、アメリカは軍隊を提供して日本の防衛を全うするものである」という西村熊雄・元条約局長の解説が通説になっている。なかには、「アメリカは日本を守るが、日本はアメリカを守らない。だから、(アメリカの)好きなように基地を差し出すのは仕方ない」という者もいる。
 本当にそうか!
 たしかに、安保条約第5条は、日本領土における、いずれか一方にたいする武力攻撃に関し、共同防衛義務を定めている。しかし、憲法9条をもつ日本が、こちらから攻撃を仕掛けることはないから、日本の領土におけるいずれか一方にたいする武力攻撃とは、日本の領土外で喧嘩を売ることを常態としている米軍基地への反撃の確率が高い(幸い、ベトナムもイラクも、アフガンも在日米軍を追いかけてきていないが)。喧嘩を売ることのない日本へ攻撃を仕掛けてくるというのは、米国のような、よほど戦争好きでなければやらないから、日本が武力攻撃され、共同防衛をお願いする確率はきわめて低い。だから、米軍関係者も在日米軍は、韓国や台湾、東南アジアへの関与のための自由出撃基地として、重要だと言っているのであって、日本防衛のために重要だなどとは誰も言っていない。
「米国は安保条約5条で日本を守っているよ」というリップサービスを信じ込んで、米軍に自由出撃基地をタダで差し出しているのが安保条約のことの本質であるしかも、最初は「極東の平和と安全」のための自由出撃基地が、いつの間にか、“フィリピン以北”から“ベトナム”へ、そしていまや遠く“イラク”、“アフガン”へとなっているのだ。バカにしないでよ

最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Dragon)
2010-02-25 01:32:38
正論である。オポチュニストの鳩山首相に期待するのは無理だし、現実主義者の岡田外相に期待するのはもっと無理だろう。平野には頭がついているのか。戦後64年たっても米軍基地のあることに疑問を持たない国民がおかしい。沖縄を日本領土と考えていないからだが。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。