プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

日本の失われた10年  多国籍大企業の強欲に原因があった!

2010-02-09 18:23:34 | 政治経済
労働者と中小企業を使い捨てにし、国民の犠牲のうえに一握りの多国籍大企業が巨額の内部留保をため込む――マルクスが、一方の極における富の蓄積が他方の極における貧困の蓄積であることは資本主義的蓄積の絶対的・一般的な法則であるといったことが1997年から2007年の統計によって鮮やかに証明された。日本共産党の志位和夫委員長は8日、衆院予算委員会の総括質問で統計資料を示しながら、日本の失われた10年からの転換を強く迫った。他党派議員からも、何度も「その通りだ」の声、拍手がおこった。日本の資本主義を「資本論の世界」に閉じ込めておくわけにはいかない。こんなことを続けていては、国民生活も日本経済にも未来がないからだ。


 「しんぶん赤旗」2010年2月9日より
「大企業が空前の利益をあげながら、暮らしも経済も豊かにならないのはなぜか」――上記のグラフのとおり、この10年間の大企業の経常利益が15兆円から32兆円に増えた一方、労働者の雇用者報酬は279兆円から262兆円(09年は253兆円)へ大きく落ち込んだ。大企業が増やした利益はどこへいったのか。それは、株主配当と内部留保である。大企業の内部留保はこの10年余で142兆円から229兆円へと急膨張した。労働者・中小企業への搾取・収奪をほしいままにすれば、国内需要が細り、国民経済は停滞する。だから、多国籍大企業は国民経済の発展に関心をもたない。この関係を鮮やかに示しているのが下記のグラフである。

 「しんぶん赤旗」同上より
日本の失われた10年間、G7(先進7カ国)のなかで、雇用者報酬(働く人の所得)の伸び率がマイナスとなっているのは、日本だけある。この間、マイナス5・2%も国民の所得が落ち込み、当然に国民経済全体も停滞した。「成長」どころか、日本は「G7」で最も成長力が低い(0・4%成長)脆弱経済となった
この10年間、自公政権が推し進めてきた「構造改革」「成長戦略」―「強い企業をもっと強くすれば、国民の暮らしが良くなり、経済も成長する」という「理論」の破綻はいまや明白である。

 強欲多国籍大企業は、貯め込んだ内部留保をどう使ったのか。労働者や中小企業を搾り上げたために、国内需要が細り、国民経済は停滞する。これでは、国内の設備投資に内部留保を使うわけにはいかない。財界・大企業は、内部留保について「多くは設備などの固定資産となっている」ので、簡単に賃上げにまわせないなどと主張しているが真っ赤なウソである。98年度から08年度の十年間で固定資産は215兆円から197兆円へと18兆円も減少している
それでは何に使ったのか。いわずと知れた「投資その他資産」である。投資有価証券を80兆円から153兆円に73兆円も増やしたのだ。この間に大企業は内部留保を98兆円積みましているので、積みました内部留保の8割近くをアメリカ強欲金融資本の片棒を担いで投機にまわしていたのだ。国民が創り出した富がこんな非生産的なことに使われていたのでは堪らない。多国籍大企業の内部留保を社会に還元させない限り、国民生活の向上も日本経済の発展もないことは、いまや明らかだ。

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