プロメテウスの政治経済コラム

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世界一トヨタのリコール問題  労働者・下請けを粗末に扱う会社に何が・・

2010-02-22 21:06:36 | 政治経済
トヨタ自動車の豊田章男社長が、同社の大規模リコール(回収・無償修理)問題を審議する24日の米下院監視・政府改革委員会の公聴会に出席することになった。アクセルペダルの欠陥で、欧米や中国で大規模なリコール(無償回収・修理)となったトヨタ車。「エコカー」として大々的に売り出しているハイブリッド車「プリウス」のブレーキをめぐっても日米で問題が噴出している。世界一トヨタの社会的責任を追及する「トヨタ総行動」が昨年で30回を数えているように、同社は、労働者・下請けイジメでも有名である。いっさいの「ムダ」を認めない超過密労働が製品の品質に影響しないはずがない。日本経済を支える企業として「ものづくり」の代名詞的存在となっているトヨタ自動車。この機会にしっかりと問題の根源を見直してもらいたいものだ

 トヨタ自動車が米国でかつてない激しいバッシングを受けている。政権運営に苦戦するオバマ政権にとって、格好の餌食となっているようだ。「隠蔽体質」「安全への取り組みを後回しにするのがトヨタ」といった批判が連日、米メディアを賑わせているという(小椋浩史「トヨタ・バッシングの悪夢」『週刊金曜日』2010・2・19)。
日本国内では、9日午後、ハイブリッド車「プリウス」など4車種計約22万台のリコール(回収・無償修理)を国土交通省に届け出た。リコールは、昨年5月に発売された新型プリウスのほか、同じブレーキシステムを持つ「SAI」、「レクサスHS250h」、「プリウスのプラグインハイブリッド」車が対象となる。プリウスなどは米国など約60カ国・地域で販売され、海外でも同様の対応をとるという。
トヨタは当初、欠陥性を否定し、「サービスキャンペーン(自主改修)」で対応する方針だったが、日増しに大きくなるユーザーの不安を解消するため、道路運送車両法に基づく厳格なリコール手続きを選択した(「朝日」2010年2月9日13時34分)としている。

 日本のリコール制度は事実上、メーカーまかせとなっている。現在のリコール制度は、「メーカーによる自主的な実施が基本」なのだ。欠陥の疑いのある自動車の検査にあたる独立行政法人交通安全環境研究所のリコール技術検証部の正職員はたった1人、他に15人の非常勤職員がおるだけである。
設計や製造過程で不具合が見つかった場合、メーカーが欠陥を認めるかどうかで、対応を三つに分けている。「リコール」は道路運送車両法に定められた保安基準に適合しない重大な欠陥の場合。国土交通省に届け出て、3カ月ごとに改修状況を報告する義務がある。「改善対策」は保安基準には規定されていない重大な欠陥の場合に行う。国交省に届け出て、速やかに改修する必要があるが、報告義務はない。「サービスキャンペーン」(自主改修)は商品性の向上を目的にメーカーが自主的に改修するもので、国交省には通知するだけでよい。米国では欠陥を認定するしないにかかわらず、リコール扱いとなる(「朝日」2010年2月5日11時34分)。

 トヨタは、プリウスのブレーキについて利用者から苦情が多数寄せられていたにもかかわらず、国交省に報告することもなく、コンピューターの設計変更を「こっそり」おこなっていた。「サービスキャンペーン」(自主改修)ですまそうとしたのだろう。リコールにつながりかねない欠陥を、トヨタ自動車会社の判断で、バージョンアップと称して手直しし、世論の批判を浴びたので「リコール」するというのだ。問題が大きくなり、逃げられない状況になってやっと非を認めるというのがトヨタの企業体質のようだ。
04年、熊本県で、93年製トヨタRV車のハンドルの動きを前輪に伝える部品が破断し、5人が重軽傷を負う事件があった。部品の強度不足が原因であった。同様の事故は92年~96年で5件発生していたが、トヨタはリコールせず、96年以降製造の新車には、強度を増した部品とひそかに取り替えていた。トヨタは8年間、同車の欠陥を隠していたのだ。熊本地検は06年、品質保証の部長ら3人を業務上過失傷害容疑で書類送検したが、07年不起訴となった。この事件後、品質担当副社長を2人にし、その一人が今や品質以上に問題といわれている豊田章男現社長であった(「しんぶん赤旗」日曜版2010年2月21日号)。豊田社長は事件からなんら教訓を汲みださなかった。

 なぜ、リコール問題が噴出するのか。トヨタは、どこを向いて仕事をしているのか。トヨタは、効率を優先し株主を優遇し、「いのち」を粗末にしてこなかったかトヨタは拡大期に車種数を増やし、新車の開発期間も5~6年から3~4年に短縮した。華やかな新車が続々と登場する裏で「現場には余裕がなくなっている」(開発担当者)。お家芸のコスト削減は開発現場にも及び試作車づくりの回数が減った代わりに、コンピューター上でのバーチャルな確認が増えた。
従業員や下請けを粗末にするトヨタは、ついに顧客までも粗末に扱うようになったのだ

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