プロメテウスの政治経済コラム

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衆参代表質問  「政治とカネ」、暮らし、米軍基地問題、どの問題でも旧政権と同じ鳩山新政権

2010-02-04 20:13:06 | 政治経済
各党の衆参代表質問が一巡した。政権交代したけれどもの政治の中身は、自公政権と基本的に同じ――予想されていたこととはいえ、ヒドイものだ。日本共産党の志位和夫委員長の2日の代表質問にたいする鳩山由紀夫首相の答弁にいたっては、昨年の国会で当時の麻生太郎首相が行った答弁と一語一句同じ答弁が返ってきた。総選挙直後は、政権交代に期待をかけた国民大衆を気にしてか、旧政権とは違う態度を示さなければと高揚した言説もあった鳩山首相もいよいよその地金を表した。今年の参議院選挙がいよいよ重要となってきた

 日本共産党の志位委員長の2日の代表質問が、一般メディアでも反響を呼んでいる。「鳩山首相の答弁/麻生氏に酷似/同じ官僚が作った?/志位氏『接続語まで同じ』」(東京新聞3日付)。
話題となっているのは、志位氏が鳩山首相に対し、大企業の内部留保を雇用と中小企業に還元させる政策転換を迫った部分。鳩山首相は「内部留保の活用というものは、本来、企業がそれぞれの状況に応じて経営判断を下すべきものであります。その上で…」と1年前の麻生太郎前首相と「接続語」まで一言一句ほぼ同じ答弁をした。3日放送のTBS系番組「みのもんたの朝ズバッ」は「東京」の記事を取り上げ、鳩山首相と麻生前首相の答弁を並べ、「赤線」を引いて同じ答弁ぶりを詳しく紹介した。「赤旗」も言うとおり、「自公政権と同じ答弁を繰り返しているようでは、『政権交代』」の意味がありません」(「しんぶん赤旗」2010年2月4日)。

 まず、国民の暮らしを守る問題。
大企業の暮らしと経済に対する社会的責任をどう考えるか――勤労者の所得が1997年の280兆円から2009年の253兆円まで27兆円も落ち込む一方で、企業の内部留保は約200兆円から400兆円に急増しており、その半分近くが大企業がため込んだ金である。労働者・中小企業への搾取・収奪を強化した結果であり、労働者(派遣労働も含めて)の処遇の改善(雇用の安定、賃金引上げ)、中小企業からの調達価格の引き上げを実行させなければならない。厭だというなら、行政上のペナルティー、超過法人税の徴収をしなければならない。大企業の内部留保と利益を雇用と中小企業に還元させる政策への転換について、鳩山首相が語ったのが、呆れたことに、先の「その上で」という接続詞も含めて、前政権の麻生太郎首相の1年前の本会議答弁とそっくり同じだったのだ
社会保障削減路線の転換について――鳩山政権は総選挙での公約を破り、後期高齢者医療制度の廃止を4年先送りのうえ、保険料の負担軽減策も実行しない。老齢者への二重の裏切りである。障害者自立支援法によって押し付けられた「応益負担」についても、鳩山政権はこれをなくすと約束してきたのに、必要な予算の3分の1しか計上しなかった。医療費の窓口負担によって深刻な受診抑制が起きている問題についても知らん振りである。
大企業・資産家優遇、庶民増税路線の転換について――旧来の政治が「聖域」としてきた軍事費と大企業・大資産家優遇という二つの分野にメスをいれるかどうか。米軍がグアムに建設する基地費用の負担が来年度予算案では前年度比4割増。野党時代には、自ら反対してきたグアムへの費用負担を政権をとったら、大幅に増額するのが鳩山政権である。法人税・証券優遇税制にもまったく手をつけないで、所得控除の廃止・縮小だけは実行し、果ては消費税引き上げを口にするありさまである。前政権とどこが違うのか

 次に軍事・外交問題。
米軍普天間基地の「移設」先については、「ゼロベースで考える」を繰り返すだけ。平野博文官房長官にいたっては、受け入れ先の自治体が応じない場合には法的に決着させることも可能だとうそぶく。アメリカ第一、国民は第二の自民党政権とどこが違うのか。共産党の志位委員長は、鳩山首相が05年7月の衆院本会議で、「普天間基地については代替施設なき返還をアメリカに求めるべきだ」と小泉首相(当時)に要求していた事実を指摘したが、政権交代したら、「現実的に不可能」という。その根拠はと聞かれたら、答えは「現実的に不可能」。国民はやっとの思いで政権交代を実現させたが、新首相の鳩山由紀夫とはその程度のレベルの人物なのだ

 「政治とカネ」問題。
小沢氏疑惑の核心は、いうまでもなく公共工事の談合システムを悪用したゼネコン汚職である。元会計事務担当の衆院議員の石川知裕容疑者と後任の会計事務担当で元私設秘書の池田光智容疑者、元会計責任者で公設第1秘書の大久保隆規容疑者が起訴され、小沢氏本人は不起訴となった。秘書に罪をかぶせる構図は自民党と同じ。小沢氏は野党だから収賄事件にならないとうのは、談合システムを悪用したゼネコン汚職の場合の法律の致命的な欠陥である。談合システムでは、仲間企業のうちどの企業が本命に選ばれ、どの企業が落とされるかその過程こそが問題であって、発注そのものは形式的な手続きに過ぎない。小沢事務所が、東北の公共工事で談合システムのこの過程に影響力を発揮したということは、実質的な発注権者であったということだ。

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