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ルイガノ旅日記

あちこち出かけた場所で目にとまったもの、
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関門海峡を "歩いて” 渡る

2024年01月11日 | 北九州

北九州市門司区から望む関門海峡。大小合わせて一日約700隻の船が行き交う海上交通の要衝ですが、最も狭いところでは航路として使えるのは500mほど。屈曲して見通しが悪く、潮流が速い上に一日に4回も潮の向きが変わるなど、船乗り泣かせの海の難所でもあります。

写真は、昭和48年(1973年)に開通した関門橋。本州と九州を結ぶ陸の大動脈です。また、私が立っている付近の海底には、関門国道トンネル(車が通行する一般道と人道があります)が通り、更にこの数キロ南西には、JRの関門鉄道トンネル、新幹線専用の新関門トンネルがあります。という訳で、車道2本(人道を含む)と電車・新幹線2本、計4本の本州・九州連絡道がこの付近一帯に集まっています(現在もう1本、下関と北九州を結ぶ下関北九州道路の建設が検討されています)。

 

この日は、関門橋の袂にある和布刈(めかり)神社を参拝。創建1800年と伝えられる和布刈神社は、潮の満ち引きを司る月の神様「瀬織津姫」を祀っています。

 

境内から石段を伝って直に海に通じているところが、潮の満ち引きを司る神をお祀りする和布刈神社らしいですね(しゃがみこんでカメラを構える怪しい奴は私です)。

旧暦1月1日未明、ここから神職が海に入り、松明の灯を頼りに岩場の和布(わかめ)を鎌で刈り取る神事が行われます。創建時代から続く「和布刈神事」で、刈り取った和布は万病に効くと言われ、かつては朝廷に献上されていた時代もあるそうです。

 

和布刈神社の裏手に、先ほど紹介した関門トンネル人道の入口があります。

 

せっかくの機会なので、九州から本州に歩いて渡ってみることにしました。片道780mですので、往復しても20分ほどのトランスオーシャン。海底ですが……(笑)

ウォーキングやジョギングする人が多かったのですが、たまたま人影が途絶えた一瞬を撮りました。福岡と山口の県境付近に向かって下り坂になっているのがわかりますね。

 

下関側から見た関門海峡。源氏と平家の最後の戦いの舞台となった壇ノ浦です。「早鞆の瀬戸」とも呼ばれ、関門海峡の幅が最も狭く潮の流れが激しい場所。潮の干満によって変化する潮の流れが、源平盛衰の分かれ道となりました。海峡に面した小さな公園(みもすそ川公園:壇ノ浦古戦場跡)に、源平両軍を率いた源義経と平知盛の像が、それを物語るように建っています。

 

舟から舟への八艘飛びで、平家の猛将 平教経の追撃をかわす義経像。

 

最終決戦の敗北を悟り、錨を抱えて入水する平知盛像。知盛は、浮かび上がって辱めを受けるのを避けるため、錨を担いだとも、重い鎧を2枚重ねたとも伝えられています。享年34歳。総大将として最後まで力を尽くしつつも、平家滅亡を覚悟し「見るべきほどのことをば見つ。今はただ自害せん」と、あまりにも潔い言葉を残しました。

ちなみに、この「みもすそ川公園」は、安徳天皇を抱いて入水した二位の尼、平時子が詠んだ「今ぞ知る みもすそ川の御ながれ 波の下にも みやこありとは」から名付けられました。【みもすそ川(御裳濯川):伊勢神宮神域を流れる五十鈴川の別称で、「皇統」を意味することもあるそうです】

 

そのすぐ傍に置かれた砲台5門。ここは幕末、長州藩が関門海峡を通過する列強艦船を砲撃した場所でもあるのです。それを発端として勃発した下関戦争。長州藩は、英仏蘭米の連合艦隊からの報復攻撃に晒され壊滅的な打撃を受けましたが、これを機に近代化を進め攘夷から倒幕へと舵を切って、後の大政奉還へと繋げる歴史的な流れを生み出しました。

みもすそ川公園……源平の決戦、明治維新前夜の騒乱など、不思議な因縁を感じる場所でした。(後ろは火の山。山頂からの関門海峡の眺めは最高です)

 

下関から再び北九州に戻り、ロウバイを見に総合農事センターへ。咲いている場所がわからなかったのですが、スタッフの方が仕事の手を休めて案内してくれました。

 

咲きはじめて間もないロウバイ。つぼみがたくさん残っていて、これからが楽しみな風情です。

 

まさに「蝋」を思わせる、しっとりと艶やかな花弁。独特の香りもさわやかでした。

 

すぐ傍に咲いていた淡いピンクの花。「梅が香(散椿)」という、椿の一種だそうです。

 

久しぶりに門司港に出かけ、和布刈神社で今年2社目の初詣。歩いて本州に渡ったのは初めての体験でした。関門海峡でワクワクした後は、門司港郵便局で能登半島地震災害義援金の振込手続き。咲きはじめのロウバイの香りもよく、ちょっと気持ちが上がった一日でした。


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4 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (桐花)
2024-01-12 20:08:00
Dukeさん、こんばんは~
関門海峡を "歩いて” 渡る!
おお~すごい~とワクワクしながら読みすすみ、しゃがみこんでカメラを構える怪しいDukeさんにクスクス笑い、でも海がすごくきれい!と感動し…
そうこうするうちに知盛さまが!!
歴史上の人物でいちばん惹かれるのが平知盛なんです。思わず「祇園精舎~」と遠い眼差しになってしまいました。
素心蝋梅の透きとおる黄色がひときわ心に沁みました。

Dukeさん、今年もよろしくお願いいたします^^*
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Unknown (Duke)
2024-01-12 21:12:17
桐花さん、こんばんは。
そうなんです。関門海峡は狭いところでは700mほどしかありません。
この付近、海底トンネルで繋がっているのですが、国道2号線の隣に人が歩いて通れる道があるんです。
海の底のトランスオーシャン、初体験しました (^-^)ゞ
壇ノ浦は悲しい歴史を紡ぐ海ですよね。
平知盛の最後の言葉は、桐花さんの記事ですごく印象に残っていました。
ここでの知盛像は碇を背負っていましたが、鎧を重ねて着るのはモニュメントとしては描きにくかったからかもしれませんね。

遅くなってしまいましたが、桐花さん今年もよろしくお願いします(*^^*)
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橋を (hirorin)
2024-01-14 10:57:08
トンネルで渡れるんですね。
私、てっきり上の道を歩くのかと思って怖いよ~と。
和布刈神事、松本清張の作品でとても印象に残っています。
壇ノ浦の合戦の像も一度は、見てみたいと思っています。

蝋梅って、やっぱりきれいですね。
好きな花の一つです。
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re:橋を (Duke)
2024-01-14 19:12:57
hirorinさん、こんばんは。
海底を歩く体験なんて、そんなには出来ませんよね。
トンネルの中は意外と暑くて、上着を脱いで歩きました。
数年前、吊り橋の上を歩くイベントに参加したことがあります。
すごく気持ちよかったですよ〜♪
私、めちゃくちゃ単純人間なので、高いところは大好きです(笑)
松本清張さんの作品に、和布刈神事が登場するのですすね。
和布刈神社も壇ノ浦のモニュメントも、機会があったら見に来てくださいね。
本州と九州、車や電車だけではなく、渡し船で行き来できるんですよヽ(^o^)丿

hirorinさんもロウバイがお好きなのですね。
私も同じですが、いつも時期を逸していました。
今年は早めに見ることができてよかったです (^-^)ゞ
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