パラドクスの小匣

南原四郎、こと潮田文のブログです。

何か忘れていませんか

2013-01-07 02:29:24 | Weblog
 和食を「世界文化遺産」に登録するよう、国連に積極的に働きかけるそうだが、本気か?

 「食」というのは、人間が生きていくためにはどうしても不可欠なものだが、それはあらゆる生物がそうだという意味でそうなので、「文化」としてありうるものかどうか、それすら疑問だ。

 テレビを見ると毎日毎日、食ってばかり。

 人が大口開けて食っているところは、決して美しいものではない。

 というか、「醜い」もの。

 日本映画、は食ってばかりだ、とは、日本映画、ドラマに対する批判の決まり文句だったのだが、そんな批判にさらされていることはどこ吹く風で、「世界遺産」申請にまで行ってしまった、というか、来てしまったというか。

 ちょっと前、一年くらい前だったが、水産省だか総務省だかが、「和食パトロール隊」をつくって、世界の和食レストランを検査すると言い出して、世界から失笑されて立ち消えになったと思ったが、どっこいそれがエスカレートして、「世界遺産申請」になったわけだ。

 ちょっと前、若い男性がお茶漬けか何かを、むしゃむしゃ音が出るように食べるCMがあって、「あれがいい」「きらいだ」という二派にわかれたことがあったが、当然私は否定派で、あれを「いい」という人がいることが信じられなかったが、本当に世の中、気に食わぬ方向に進むばかりだ。

 Eテレで、「日本人が考えてきたこと」とか、そういうタイトルの番組があって、結構面白いのだが、それに河上肇と、そのライバルで、福田某とかいう経済学者がいたんだそうだ。

 河上肇は、共産党に憧れていたが、思想的にはそこまでついていけず、結局、今の社民党、あるいは民主党も含めていいのかもしれないが、その元祖みたいな存在で、一方の福田は、自由派で、たとえば関税にしても、河上肇は国内の農家を含む生産者を守るために必要という立場で、一方の福田は「関税は物価を上げるのだから、消費者のためにならない」ので原則廃止、という立場だったらしい。

 実はこの番組は再放送で、前の放送も少し見たのだが、今回は見逃したところを見れたかたちになって、そこで、福田がヨーロッパに留学した際、ブレンターノに教わっていたことを知った。

 ブレンターノというのは、哲学者嫌いでしられるフロイトが唯一私淑していたことで有名だが、現代思想の源流の一人で、フッサールに学んだ日本人は多いが、ブレンターノに学んだという人はあまり聞かないので、「つごい」と感心したのだが、番組は、ブレンターノに言及することなく、ひたすら河上肇のライバルで通した。

 河上肇の「貧乏物語」は、私も古本屋のワゴンセールで買い、読んだことはあるが、「資本主義が勃興して以来、社会の富は増大したはずなのに、貧乏人が多数現出したのはなぜか」という冒頭の文句はよく覚えていて、「なるほど」と思ったのだが、それ以外は、特に印象に残るような箇所はなかった。

 要するに思想家として、「これは!」と思わせるような鋭さはなと思ったが、福田某はそれがありそうだったが、その思想は結局、日の目を見ることなかったということなのだろう。

 テレビでは、東京オリンピック招致の話題を取り上げ、「鍵は、東京都民が支持するかどうかです」とニュースで言っていたが、どう考えても鍵は原発だと思うが。

 大会期間中に地震がないとはいえない。

 というか、政府の発表では、70パーセント以上の確率で大地震があるのだが、それにどう対処するのか、いや、その前に、事故処理が現在どうなっているのか、放射能はどうなのか、オリンピックを開催するとしたら、どんな対策を用意しているのか、招致委員会では要求されると思うが、対策はあるのだろうか。

 それを含めての「原発招致」…じゃなかった「五輪招致」だと思うのだが。

 安全に自信があるのなら、そうはっきり言えばいいし、多分外国では言うのだろうが、日本では反発されるので言わないし、報道も控えるのだろう。

 奇妙だ。

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