パラドクスの小匣

南原四郎、こと潮田文のブログです。

年頭所感(私のじゃなくて)

2006-01-04 14:24:36 | Weblog
 昨日、新宿西口にあるマップカメラという店を覗いたら、元旦早々、落札に失敗したコダックメダリストに10万円の値札がついていた。それも、「保証なし」「初期不良返品不可」と、ほとんどジャンク品だ。まともな状態だったら20万くらいつくのかもしれない。く、悔しい~。

 朝、起きぬけにテレビをひねったら、小泉首相の年頭記者会見が始まるところ。開口一番、改革優先政策が効を奏して、景気回復が実現したと誇っていたが、実際のところは、みずほ銀行だったかに大量の税金(公的資金)を投入したことで、「市場」に安心感が広がり、そのニュースが流れた瞬間から株価が上昇、それが景気回復につながったことは明らかだ。
 ちなみに、株価が上がるとなんで景気が上向くかというと、たとえば3万円でコダックメダリストを買った奴が、その直後、東京の某店で同じものが10万円の値がついていることを知ったら、7万円もうけた!と思って、7万円で別の商品を買おうとするかもしれない。あるいは、テレビ東京の「なんでも鑑定団」で言えば、自分の予想をはるかに上回る値がついた出品者は気をよくして、「今日は皆で乾杯だ!」ということになるかもしれない。「株価と景気」の関係はまったく、「それだけ」の話なのだが、それが実際にどのように景気に寄与するかは、それに参加する人(=行動する人=インフレ要因となる)、ばかりでなく、参加しない人(=行動しない人=デフレ要因となる)もまた影響を与えるので、どんな高性能のコンピューターを使っても予想はできない。言い換えると、「予想不可能」だけが「予想可能」なわけで、こうなるとまったく量子力学の世界になる。
 それはさておき、現在の景気回復が、「構造改革」ではなく、「資金の大量投入」によるものであることを、政府、自民党は――口とは裏腹に――わかっている。だから、公定歩合の引き上げを目論む日銀(財務省をたぶん、含む)を強く牽制している。曰く、「デフレは終わっていない」と。あれ? 言っていることが矛盾してない? でも、昨年来の景気回復の「真相」がわっていれば、これでいいのだ。

 朝鮮ネタを一つ。
 今、北朝鮮でもっともよく見られるスローガンは、「我々にはうらやむものは何もない」だそうだ。これは、北に資本主義経済がすこしずつ忍び入っていることの反映だろうが、「北」が、実はインテリ国家であることの証明でもある。というのは、この「うらやむ心」こそ、「恨」の心であって、北の指導者たちは元来インテリぞろいなので、「恨」を克服せねば自分達の近代化はあり得ないことがわかっている。しかし、と言いつつ、この「我々にはうらやむものは何もない」という言葉には、彼らの「恨」の感情がありありと透けて見えてしまうのも否定できない。
 その証拠に、このスローガンに対する韓国人の反応は、「うらやむこともできないなんて、なんて可哀想な北の人たち」、「うらやむ心なくして、生き甲斐がどこにあるか。これほど心の痛むスローガンだはない」と、「恨」の心を全面に出して、北もまた、自分達と同じく、「うらやむ心=恨」を一緒に抱き、「人間らしい心」を取り戻してほしいと願っているのだ。つまり、北の、一見「恨」をいましめるスローガンに込められた「恨」の感情を、南の韓国人は、まさに「痛切」に感じとっているのだ。それにしても、「(他人を)うらやむのが我々の生き甲斐」だなんて、「正直」って言えば正直なのだが、でも、韓国にはキリスト教徒が多いんだよなあ……大統領を筆頭に(笑)。面白い国だ。

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