パラドクスの小匣

南原四郎、こと潮田文のブログです。

福田がまし?

2009-02-01 20:41:08 | Weblog
 「派遣問題」は、依然、今、日本人がもっとも熱くなる話題であるらしい。

 なんで、そうなのか、ということがもっとも問題なのであって、それは最終的には、日本人には「労働者階級」という概念が今一つ、というか全然わからないということに帰結すると思うのだが、それはさておき、今日も昼過ぎからそういう討論番組をやっていた。

 そこで、画面の外に、派遣切りにあった「もと派遣」が四、五人いて、彼等に実情を聞いていたが、給料について、「話にならないくらい安い!」と、全員がはき捨てるように言っていたが、じゃあ、具体的にいくらかというと、それは言わない。本当に元派遣なのか?って思ってしまうくらいだ。

 一方、ビデオで出ていた48歳の男性は、1000万円近い年収を不動産会社で得ていたが、ノルマが厳しく、派遣になって岡山の自動車部品工場に工員として雇われたが、その日から3時間の残業があり、月収40万円だったそうだ。

 3時間の残業で、土日出勤もあったというし、そもそも自分で言っている数字だから、40万円と言うのは実収だろうと思うのだが、それがいきなり解雇となって、生活保護を受けて安アパートで暮らしはじめたという。

 う~ん、こういうのを見ると、「自己責任」って言葉をつい口にしたくなるが、まあ月々40万円をどう使おうが、それこそ、自分の勝手なんで、他人が口を挟むことではない。競馬をやろうが、ギャバクラで使おうが、そのお金はまわりまわって、「自己責任」を言い募る人の懐に入ったりするわけだから。

 むしろ、なんだかな~と思うのは、農業や介護の現場は人手不足だから、そっちへまわせばいいだろうという理屈。

 これで、「考えたつもり」になるところが、ちょっとバカすぎる。

 自分が当事者と思えば、すぐわかるのに。

 もちろん、介護の給料を高くすれば人は集まるだろうが、だったら、「人手不足」って現象がそもそも起きてないだろう。

 しかし、ちょっと笑ってしまったのは、その農業に転身した元派遣の若者で、この若者は地方公務員の両親の家で住んでいて、テレビカメラが映したその住居はかなり立派。お父さんはにこにこ笑い、お母さんは、美人だった。

 まあそれはともかく、その両親の家からトマト農家に通っているみたいなんだが、なんか「妙なもの」を見た感じだった。

 まあ、ともかく、「派遣」の場合は社会保険等が不要なので(企業側にとって)、時給換算すれば、正社員より派遣のほうが高い給料を払ってもいいはずだと思っていたが、実際にそうらしい。派遣の企業側のメリットは、景気が悪くなったら、正社員と違い、即解雇することができるというところにあるからだ。それはもっともだ。

 ということは、仲介している業者の取り分が高すぎるのか?

 よく聞く話に、五割以上を派遣業者がとり、本人は、それに加えて寮費などをさっ引かれるため、雀の涙しか残らないのだとかいう話をよく聞くのだが、これも証拠はない。

 もちろん、「派遣業」としての、ちゃんとした「業態」を確立する必要があるらしいことは、あるらしいのだが……。

 それより、おもしろかったというか、ある地方自治が空家になっている公営住宅を貸し出すことになって入居募集したら、集まってきた人の9割以上が外国人労働者だったそうだ。

 彼等は、「労働者」であることが彼等のアイデンティティなので、こういう場面ではあっという間に情報が広まり、集まってくる。

 一方、日本人の場合、「労働者」という身分を恥ずかしいものと思う気持ちがどこかにあるから、情報を相互に伝えるということがなく、「背に腹は変えられない」という状態になるまではなかなか動こうとしないのだろう。

 しかし、これでは「社会政策」というものそのものが成り立たない。

 というわけで、持論の「ちゃんとした格差社会」になればいいんだと思うのだが、アメリカでは日本どころの数ではない失業者が生じているはずだが、あまり「社会不安」のニュースは聞かない。ロス暴動とか。

 これはよくわからないのだが、アメリカではベーシックインカム、すなわち「負の所得税」制度が実質的に行われているらしい。

 だとしたら、それは前回のバブル崩壊時の教訓で導入されたんだろうか?

 なんにせよ、最初から百%の社会はない。試行錯誤が必要だ。その間、悲劇的状況があったとしても、最初から百%というわけにはいかないのだ。

 そう考えれば、今の日本の状況だって、「前進のための試練」と考えることもできるはずだし、そう考えるべきなんだが、麻生じゃなあ。(ちなみに、私は断じて麻生がいいと思ったことはない)

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