パラドクスの小匣

南原四郎、こと潮田文のブログです。

私利私欲に走れ!

2012-11-15 01:18:50 | Weblog
 いつもの新宿2丁目のはずれの古本屋で、大岡昇平の日記、「成城だより」3巻とプーシキンの「スペードの女王」の4冊を200円で買う。

 大岡昇平の「成城だより」は名前だけ知っていたので、どんなものなのだろうと思ってパラパラと開いてみたら、現代数学について書いてあったのと、他の箇所も意外な話題が多く書かれているようで、三冊全部買おうと思ったが、3冊以下では一冊100円、計300円となるので、もう一冊,以前からちょっと気にかかっていたプーシキンの本をあわせて4冊買うことにしたのだ。

 その「成城だより」だが、まだ少ししか読んでいないが、驚いたのは、数学者、竹内外史の「数学的世界観」を買って,今、勉強しているという。

 竹内外史の「数学的世界観」は私ももっていて、今回の活字版「風に吹かれて」(サブタイトルを「写真私史」とすることにしたので,以下「写真私史」とする)の主要ネタ本の一つなのだ。

 大岡昇平の日記には日付がないのだが、柄谷行人などがゲーデルの不完全性定理などをしきりにとりあげていた1980年頃と思われる。それで現代数学、それも基礎論に興味をもったのだろうが、それにしても70を越えて現代数学に挑戦しようという、大岡昇平の知的好奇心に驚くとともに、その竹内外史の「数学的世界観」を何の知識もなく、たまたま紀伊国屋の本棚で見て、面白そうだと思って買った私の「眼」もなかなかではないかと自画自賛。

 大岡昇平なんて,辛気くさい純文学者かと思っていたが、「窓際のトットちゃん」なんかもとりあげていて、それも学校教育に対する根本的批判で、「辛気くさい」ところなんて皆無。

 また「トットちゃん」が、一部の公立図書館で「禁書」になっていたことも知った。

 大岡の推理では、学校におけるトットちゃんは学校教育に批判的と思われたのだろうと書いてあったが,学校教育、とりわけ「義務教育」なんてものは、結局「奴隷教育」なのだ、とまでは書いてなかったが、大岡昇平が、それに近い「自由思想」の持ち主であることがわかった。

 大岡昇平というと、語感からつい安岡章太郎と混同してしまうのだが、『レイテ戦記』も読んでみようかと思った。

 さて、選挙なのだけれど、マスコミではしきりに「選挙で勝つことだけを目的にしてはいけない」と私利私欲を牽制している。

 しかし、選挙に限らず、日本人はもっと「私利私欲」に走るべきだと思う。

 その「私利私欲」を調整するのが政治だと思うのだが、はじめからみんな「私利私欲」を抑制してしまう結果、現状維持が続き、結局、不満だけが残る。

 そもそも、デフレとは、既得権益の所有者、とりわけ、公務員がもっとも得をする体制なので、官僚はみんな心の底では、今の状態が続いてほしいと思っているはずだ。

 しかし,復興予算を復興以外に使っていることがわかったら、普通の国なら完全に暴動が起きている。

 ところが日本では暴動が起きないどころか、政府に金がないという、官僚の宣伝を、依然として信じている。

 小学生でもわかる簡単な「算数」の問題なのだが……。

 否,算数の問題ではない。

 信義の問題なのだ。

 「信義の問題」を問題にしないこと自体、信義にもとることなのだと思い知るべきだ。

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