パラドクスの小匣

南原四郎、こと潮田文のブログです。

湯浅誠氏曰く

2010-12-18 15:00:29 | Weblog
 年末だから,というわけではないのだろうが、反貧困ネットワーク、派遣村村長さん、湯浅誠氏を久しぶりにテレビで見る。

 私は,この人が、どういう方向で「貧困問題」を解決しようとしているのか、よくわからなかったのだが、ようやくわかった。

 彼はこう言っていた。

 「貧困な人と、貧困ではない人(「社会」という言葉を使っていたかもしれない)断崖絶壁で拒まれています。私は,この断崖に階段をつくりたい。」

 なるほどねー。

 この人は,噂では、自分のもとに集まってきた貧乏人を家賃保障会社に紹介することで、保障会社から謝礼をもらい、活動費等に充てていると聞いたことがあるが(あくまでも「噂」です)、なるほど、これも貧困から抜け出す「階段」の一つな訳だ。

 家賃保障会社というのは、一種の、というか、典型的な「貧困ビジネス」だ。

 こういうのは、本来、自治体が公的サービスとして行うか,湯浅氏のような人がポランティア的に行うべきことではないのか?

 最近,貧困から発する諸問題を扱った番組を,前にも増して、テレビでよく見るのだが、それを見ると、誠実に「実践」に取り組んでいる人が結構いる。

 しかし、湯浅氏の「実践」は、私は,年末恒例の「派遣村」以外、寡聞にして知らない。

 「反貧困ネットワーク」のホームページも見てみたが、1年前の集会のお知らせがそのまま掲載されていたり,「やる気」のなさがみえみえだ。

 まあ、それは私の「感想」に過ぎないとして、湯浅氏の「貧困者が貧困から抜け出すための梯子をかける」という「反貧困対策」には、私は反対だ。

 貧困者が貧困から抜け出すことができれば、即、中流とは言えないにしても、貧困対策は必要なくなる。

 しかりしこうして、この政策が成功した暁には、それでもどうしても無理、働けないという人のみ、「生活保護」で支えればよい。

 じつは、これが、昭和30~40年代以降の日本政府(官僚)の基本方針であり(「救貧」ではなく「防貧」を)、そのスローガンが「一億総中流化」なのだ。

 湯浅氏の、貧困脱出のための「ハシゴ掛け」「階段づくり」は、したがって、従来の日本政府の方針から少しも出るものではない。

 しかも、それは、もはや「無効」なのだ。

 湯浅氏がベーシックインカムにまったく言及しないわけがわかった。

 じゃあ、どうすればよいのか?

 貧乏人は貧乏人のまま救われてしかるべきなのであり、そのために、「貧乏は正しい」という思想が根底に必要なのだ。