パラドクスの小匣

南原四郎、こと潮田文のブログです。

中川自民党幹事長自治労潰し発言から、あれこれ

2006-10-31 16:07:15 | Weblog
 もう、40年近く前だが、国鉄の労働組合(国労)によるスト権ストというのがあった。公務員は、身分の安定性とバーターで、ストをうつ権利がないが、そのスト権利を与えろ、といって、ストをしたのだ。たしか、八日間続いたと思うけれど、結末はどうついたんだったか覚えていない。というか、結末はつかないまま、「不便だ!」という世間、というか、マスコミの圧力で元の状態に復帰したんだったと思う。
 その時、つくづく思ったのだが、ストをする権利くらい当たり前に与えればいいではないかと。そもそも、ストを禁止されてたってやっているのだし。
 もちろん、その場合には、公務員の「身分保証」なんてものはなくなるわけだが、それを承知で国労は「スト権を与えろ」と叫んでいたのかというと、そこがさっぱりはっきりしない。新聞もTVも、それを指摘しない。もし、身分保証はそのままで「スト権」を与えろ要求しているのだとしたら、あまりにも虫のいい話で、世論の大半はそれを支持しなかっただろう。
 一方、政府のほうも、「じゃあ、スト権を与えるから、身分保証なしだぞ」とはっきり条件を呈示したかというと、それはせず、ただ、公共の仕事に従事しているものたちにスト権を与えたら、国民の生活に大きな影響が出るから駄目だ、としか言わない。

 つまり、肝心要の「条件」を双方共に封殺してしまっているのだから、結論が出るわけもなく、うやむやに収束することは、今考えるとわかりきったことだった。いや、当時からわかっていたのだが、じゃあ、なんでそんなストライキを行ったのだろう。これがいまだによくわからないのだが、それはともかく、この懸案の公務員のスト権について、自民党の中川幹事長が、スト権を与える代わりに身分保証を廃止すると講演会で明言したらしい。
 よくぞ言ってくれた、中川君。
 まだ、直接、相手(今では国鉄も郵便局も民営化されたわけだから、幹事長発言の相手は自治労ということになるが)に提案したわけではないが、正式な話となったら自治労はどう応えるのだろう。まさか、「スト権なんかいらないから、身分保証を残してくれ」なんてみっともないこと、口が裂けても言えないだろうから、「自治労潰しが目的の陰謀だ!」と言って、提案自体を無視する戦法に出るだろうが、国会における野党の審議拒否という戦法がもはや成り立たなくなっている現在、それもほぼ不可能だろう。
 逆に言うと、それがわかっているからこその幹事長発言なのだろうし、その向こうには来年の参議院選挙における対民主党勝利をめざして、という大目標が、露骨なぐらい、ありありと控えている。
 では、その民主党はというと、自民党が政策のグランドデザインと選挙対策を結び付けることに成功しつつあるのに対して、旧社会党のように、ただ、「なんでも反対」を叫ぶしかなくなっている。
 新聞をみると、「次回の参議院選挙では一般に民主党が有利と言われている」と書いてあるが、何が「一般に」なんだろう。民主党勝利の芽は、万が一にもないと思われるが……。

 あるとしたら、今から二年半程前、つまり、小泉が電撃的に北朝鮮を訪れる直前、自民党内で四面楚歌だった小泉(だから、北朝鮮訪問という大ばくちをうったわけだが)を支持すればよかったのだ。特に、道路公団や郵政民営化問題では民主党は小泉に近かったのだし、実際、鳩山は小泉支持を打ち出したのだったが、党内から反発を食らって、あっさり撤回してしまった。
 もっとも、鳩山民主党が小泉支持を打ち出して、自民が分断されたとして小泉内閣がどういうことになったかはわからない。小泉支持の鳩山民主党に、小泉が呼応したかどうかも、わからない。小泉はえらく《したたか》だからだ。
 でも、チャンスと言えば、あの時だけだったのだ。しかし、それを知ってか知らずか、鳩山は、あの時の党内の猛反発がトラウマになったのか、以後、なにがなんでも反自民党という姿勢になってしまった。

 それはともかく、北朝鮮訪問を決断した当時の小泉を形容すると、「孤独」の二文字だったにちがいない。そして、本当の事を言うと、小泉は、その「孤独」のうちに退陣という可能性が大だった。
 ところがっ!なんと、とハリセンがあったら、ここで机をバンバン叩くところだが、その小泉を救ったのが、9.11テロなのであった!
 というわけで、9.11のぼっ発数カ月前から数えて、ほぼ二年間は、日本の政治史にとって、特筆すべき二年間であり、いずれ、詳細な研究が望まれると、私は今、断言しちゃうね。(ということは、ここしばらくは、重大な政治路線の変更はないということだ。変化があるとしたら、公明党の出方次第だが、自民の邪魔をしなければ友党として手厚く扱うという地位に安住する可能性が高い)

 なんか、話が飛んでしまったようだが、何の話をしてたんだっけ……あ、そうか、スト権ストの話だったのだ(笑)。

 とりあえず、今日はこのへんで。