活眼明察日記

物事の道理や本質を見分け、真相を明らかにする眼力を養いたい

阪急交通社長、賞賛記事に違和感

2010-05-22 22:20:01 | Weblog
本日、22日の朝日新聞別刷り「be」に阪急交通社社長が、旅行取扱高で同社を業界3位に躍進させた記事が掲載されていた。大手3社の顔ぶれが入れ替わるのは1955年以来というから、さぞかし社長は得意満面であることと察する。

しかし従業員は粗末に扱われていないだろうかと不安がよぎる。これも5月12日付、朝日記事であるが、子会社の阪急トラベルサポート社(HTS)の女性派遣添乗員が起こした、未払い残業代約56万円の支払いを求める裁判で、判決はHTS側に対し、女性添乗員に全額を支払うよう命じた。要は残業代が払われていなかったのだ。判決はHTSが添乗員に「みなし労働時間制」を適用することは不当だとした。

これとは別に、所轄労働基準監督署も07年と09年の2回にわたり、「日報で労働時間の管理は可能。みなし労働時間制は適用されない」とHTSに残業代を支払うよう指導・是正勧告していたことも分かっている。

これに対し、HTSは労基署の指導に従わず、残業代の支払いにも応じていなかった。裁判ではこれらの行為をきびしく指摘した。HTSはこれを不服として控訴するらしいが、子会社が社会的責任を放棄していることに、親会社の阪急交通社は無責任過ぎないか。

従業員が過当競争の犠牲になっている構図が浮かぶが、子会社の違法ともいえる行為を、指導できない親会社の社長が、紙上で賞賛されていること、的外れで違和感をおぼえる。業界3位らしい振る舞いが必要である。社長は子会社の体たらくをきちんと指導し、解決するべきである。

この記事を扱った朝日も朝日なら、これに応じた社長も社長である。つまらない記事とはこのことだ。