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フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

ドローイング223. 小説:小樽の翆154. サンクトペテルブルクの恋

2020年08月26日 | Sensual novel

 

晃子さんちのパーティーの続き

晃子「この家は、お爺ちゃんとお婆ちゃんの家なの。二人とももう亡くなったので私が住んでいるの」

翆「どんな、お爺ちゃんとお婆ちゃんなの?」

晃子「日本が敗戦で荒廃していた頃かなぁー。お爺ちゃんは、若い頃当時のソビエト連邦で医者の勉強していたの。

当時はレニングラードといってた、今のサンクトペテルブルクね。お爺ちゃんが若い頃、お婆ちゃんかもらった手紙がこれ!」

翆「あら、随分古い葉書ねぇー」

あら、それって血の上の救世主教会と呼ばれているロシア正教の聖堂じゃん、今じゃ世界遺産だ。

翆「名前がすごいね」

1881年にロシア皇帝アレクサンドル2世が暗殺された場所に教会を建てたんだよ。そこと関係があるんだ。

晃子「下のキリル文字を読むとわかるの。それにはこう書いてあるの。

・・・

嘉一朗!

私と、私達の子供を残して日本に帰るつもりですか?

明日。ここの教会の神父さんに結婚式をお願いしました。

アンナ

・・・

これ翻訳したときは、ウキャー・・だよ」

翆「わっ、すごい女性からプロポーズしたんじゃん。子供って晃子さんのパパだよね」

晃子「そうなのよ」

子供つくってロシア正教会で結婚式をあげて日本に帰ってきた・・・。

晃子「なれそめは・・・、お爺ちゃんが医者でレニングラードの病院に勤務していたの。そこへ交通事故に遭った患者さんが運ばれてきたんだって。それがバレリーナだったの。つまりお婆ちゃんね」

おおっ!、バレリーナとロシアの恋!!・・・・でっ?

晃子「足を複雑骨折して、お爺ちゃんの担当だったのね。バレリーナが複雑骨折したら、もうそれで再起不能よね。でっ、お爺ちゃんも一生懸命治療したけど、もうバレーはあきらめなさい、といったんだって。

そしたらものすごく悲しい顔して泣きじゃくるのよ。そこでお爺ちゃんが日本の折り鶴をつくってあげたんだって。それぐらいの治療しかできないのよ。それがきっかで、お爺ちゃんといろんな日本の話をするようになったんだって。

それが出会いの馴れそめね。その後回復はしたけどバレーは、できないじゃない。そこでお爺ちゃんが街の散歩に連れ出すようになったわけ。つまりデートね。そして二人の仲が親密になっていったというわけ。だもんお爺ちゃんの下宿先で結ばれたんじゃない。そして愛し愛されたあげく子供ができたというわけよ。その子供が私のパパよ。今札幌で医者している。

それで、お爺ちゃんが日本に帰ろうとすると、この葉書よ。お爺ちゃん達は、この血の上の教会で結婚式をあげて、二人、いや三人か・・・、でっ、小樽にやってきたの。それで外科の開業医をしていたの。それがこの洋館なのね」

翆「ふぅーーん、激しい恋だったんだぁー。貴方の子供が宿っているから、私と結婚してから日本に連れてって、それプロポーズだよね!」

晃子「そう、だから、その後二人とも仲がとてもよかったよ。お爺ちゃんが亡くなったら、お婆ちゃんもなくなったぐらいだから。そのとき、お婆ちゃんの若い頃のバレリーナの写真を見た記憶があるけど、今はわかんないなぁー。でも、とても綺麗だった記憶はある。またの楽しみね」

・・・

プーチンの故郷、サンクトペテルブルグ、恋をするのに相応しい街といったらよいか・・・。

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