Creator's Blog,record of the Designer's thinking

フィールドワークの映像、ドローイングとマーケティング手法を用いた小説、エッセイで、撮り、描き、書いてます。

番外編350. 機械式ボディーのあるハイブリッド・システム

2018年05月05日 | Photographic Equipment

 くどい話になるが、機械式ボディーが必要だという日沖さんの本(注)の原則にこだわってみた。それでハイブリッド・システムができるだろうか。

 機械式ボディーとは、シャッターがメカニカルな機構であるから電気を使わない構造であり、フィルムさえ用意しておけば充電することも電池もいらず、いつでも使用できる。それが20世紀撮影機材の基本だった。もちろんピントはマニュアルだ。

 それで日沖さんの本にかかれてあった原則に従い、仮説的に手元機材でハイブリッド・システムを組み立ててみた。結果としてこのようになる。

デジタルボディ:オリンパスE-M1

レンズ;M.ZUIKO DG12mm/F2.0、LEICA DG Macro Elmarit45mm/F2.8

フィルムボディ:ライカM4-P

レンズ:SUMMICRON35mm/F2.0

 機械式のボディーがライカM4-Pにズミクロン35mm付きというのが肝。ライツは古くてもメンテナンスさえしていれば丈夫。

 この8枚レンズを使用したズミクロンは名鏡玉の誉れ高く・・・などと本に書かれてあるが実は写り方はコントラストが低すぎ、まれにシャープな画像を撮すときもあるが、光に左右されるなど気むずかしいレンズである。

 システムにF2.0レンズを入れるべしとする日沖さんの原則に従えば、それが2本あるから夜に強いのか。それにOEMも含めて一応ライカと名の付くレンズが2本あり、まあ画質はよいのだろう。またM.ZUKO DG12mmレンズは、大変シャープで綺麗な描写をするので、捨てがたいレンズだ。F2.0と明るいのでここで是非使いたい。

 こうすることで小さく軽量な広角-準標準-望遠(E-M1のデジタルテレコンバータで180mmまで望遠)システムとなり、当然接写可能。あとは小さな露出計(電池をいれておけば2年ぐらい使用可能)があれば便利。これなら地球上のどこにでも持ってゆけそうだということはわかる。

 ただし、現在のマイクロフォーサーズにも大きな欠点が2点ある。

 先ず背景のボケ方は、フルサイズと比較するとボケない。そこで45mm程度の望遠系レンズが必要になる。

 次いでミラーレス・デジタル一眼レフは、総じてバッテリーの持ちが大変悪いことが致命的だ。例えばオリンパスペンFは小さく、軽く、デザインも良く、単焦点レンズと組み合わせるのには好都合だが、1日2本はバッテリーが必要になる。またデジタル一眼レフ最先端をゆくSONYα7シリーズでも、バッテリーグリップを付けないとお散歩カメラかスタジオ機材かと思われるほどバッテリー消耗が早い。だから機械式ボディが必要だという理屈も成り立つことにもなる。目下バッテリーを気にせずに使える私の手元のデジタル機材は、唯一EOS1Dsしかない。だからフィールド調査は、いつもEOS持参になる。

 さてそれで、観光マップにも記載されていないエリア、そんなところのホテルにコンセントがないところは沢山あるし、沢木耕太郎さんのようにバスでヨーロッパを目指す放浪の旅などをするのか?。つまり辺鄙なところにゆく機会が、今後あるのかなという疑問も他方であるわけだが、そういうところでも使え、世界中どこにでも持って行けるのが機械式ボディを含むシステムではある。私は、これダイビングに持って行きますけど。

 それに一端旅に出たら、あのレンズが必要だったといってみても、取りに帰ることはできませんから、やはり予め合目的なシステムをつくっておくことが必要になるわけ。

 さて、このように何故単焦点レンズにこだわるかというと、小さく、軽く、概してリーズナブルで性能が大変良いという点にある。

 その他ズームレンズは、ズーミングして構図の収まりが良いところを探すなどあまり撮影者が動かないし、取りあえず何でも連写で撮っておくというビデオ撮影的な撮り方だし、思考の軸足は撮影後の編集に力点がある。他方で単焦点レンズでは、どの位置でどのように撮ったら一番良いかとか、構図の収まり方とか、いろいろと撮影時に考えるわけ。思考の軸足が撮影時にある。そこに撮影者の強い意識や意志や主張が介在しているのだろうし無駄カットを撮らないし、後編集が少ない。

 ズームレンズと単焦点レンズとは、そうした軸足の違いがある。だから静止画であれば、単焦点レンズでよかろうということになる。iPhoneだって単焦点レンズだ。

 一寸旅に持参したくなるシステム、フィルムはプラスXかトライXでいいでしょう。

 

注:日沖宗弘:プロ並みに撮る写真術2.-一人で仕事をする研究者・ライターのために、勁草書房、1993年

α6000,Carl Zeiss Vario-Tessat16-70mm/F4.0、ISO5000,焦点距離70mm,露出補正0,f/8,1/125

 

 

 

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