道元禅師はご修行の時分のことを思って
「今まで自分は脇席をつけず、あるいは隣に坐っている人の
顔も見ずに本当に一所懸命に身命(しんみょう)を賭して
坐ってきたけれども、畢竟どうであったか」
「眼横鼻直なることを認得して人に瞞ぜられずだ」
(目は横、鼻は縦についていることを、自分で本当に
知(識)りました)
とおっしゃいました。
「このままでよかった」ということです。
「本来本法性天然自性身」
(ほんらいほんぽっしょう てんねんじしょうしん)
「その通りだった(もともと仏であった)」ということです。
ですから、結果から言えば、
「動静大衆に一如し、群を抜けて益なし」
ということになるわけですけれども、それまでに成るためには
三年間横になって寝ず、隣に坐っている人の顔も見ずに
ご修行されたという「事実」があったのです。