私たち衆生は始終年をとりつつあります。
年をとるという事柄は、一つのものが二つになったのでは
ありません。
その一つのものが変化しつつ行くのです。
だとすると、形(かたち)というものはまずないのです。
そこを道歌に、
「おもかげの かはらでとしの つもれかし
たとへ命に かぎりあるとも」
と。
人間(にんげん)の身体は一度に衰えるのではありません。
瞬間瞬間に変わっているのです。
「因縁の法」を知(識)れば、年をとっても年は寄りません。
年寄りに年をとることが分かれば年寄りの世界です。
年寄りも若いものになります。
誰もがやがて年寄りになるのですから、この因縁をよく
知(識)っていれば、「心」は決してお年寄りにならない
と思います。