活かして生きる ~放禅寺の寺便り~

娑婆世界を生きる智慧/おシャカ様・禅・坐禅・法理・道のこと

「戒」について 1

2015年04月27日 | 仏教
私達衆生は概念的に「戒」とは特別の事のように考えがちです。

「してはいけないこと、しなければならないこと」が「戒」であると、どうしても思ってしまいます。

しかし、そうではありません。


「戒」とは、いつでも距離がなく、ものと一つにある事を言います。

ですから、「戒を守る」とは【ものと一つになっている「今の事実」に手を付けない】ということなのです。


「戒とは制止なり、対治なり」という御言葉があります。

おシャカ様が始めて成道なされて、「戒」を結せられたのです。

その際の御言葉は「私と大地有情(世界のあらゆるもの) と同時に成道(悟りを得る) する」と。


これを「制止」と、名付けています。

「制止」する故に「仏戒」と呼んでいます。


「制止」とは、欲望を制する事をいい、対治とは、悟りの智慧で煩悩の迷いを破ることを言います。


本来、【すべてが一つ】です。そうであるにもかかわらず、私達衆生は、一つのものを二つに見てしまうのです。

例えば、「自分は迷っているから悟りを得なければならない」

「不安があるから安心を得なければならない」

「我があるから無我にならなければならない」

といった事です。


自分の理想とするものを、他に見立てて「そこに到達しなければならない」という誤りを犯してしまいます。

これは明らかに【破戒】なのです。








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