活かして生きる ~放禅寺の寺便り~

娑婆世界を生きる智慧/おシャカ様・禅・坐禅・法理・道のこと

仏教を考える 10. 事実

2015年04月26日 | 仏教
「事実とは言葉で表現出来ないもの」と言いますが、是れは「言葉の本質」について言われた事ではありません。

【言葉は、言葉の約束事について何事か語っているに過ぎません】


言葉の側で知りうるものは、言葉と事実の関係及び「我々が事実をどう見ているか」という、事実に対する我々の見方のみです。

【事実は事実そのものに成る事によってしか知り得ません。】

ここに仏教が出発します。


【言葉の世界では言葉に対応する事実があるという前提に立っています。】

仏教はこの事実を事実そのものとして自ら体得する道です。

ですから、問題意識をぶつけて自己の問題として究めて行くのが仏教なのです。


【仏教においては「実相は無相である、一切は空である」と説かれています。是れも自ら実証しない内は、一つの仮説のようなものです】

「事実はある」という事は、「事実がある、ない」という認識内容にあるのではなく、認識を起こしている者、即ち、自分自身にあるのです。


「自己の正体を見極める」「法(道)そのものに成る」事に因って、仏教の究極においては「今の自己の様子そのもの」であるという事を「本当にそうだ」と頷く事が出来るのです

この事に因りて、初めて日常生活(本来の修行)が行われなければなりません。




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