年に一度だけあなたに声をかける事ができるのが今日ならば
私は今、あなたにありがとうを伝えたい。
あなたは私に
あなたの中で一番輝くものを譲ってくれたね。
それは何者にも汚されない
純粋で真っ直ぐな魂
故郷を離れ遠く世界の淵に立ってみて
その先に見える景色は美しいばかりでない。
時に憤怒の嵐に切り刻まれ
畏怖の闇に煮溶かされ
灰のようにホロホロと形をなくしていった私の中に
それはたったひとつ燃え残っていたよ。
どんな嵐に襲われても憎む事なく
晴れ渡る青空を美しいと思える
どんな闇に飲み込まれても荒む事なく
明ける光を愛おしいと思える
それが私の強さ
弱くて愚かな私の強さ
あなたが譲ってくれた一番の宝物
何者にも汚れず
どこまでも真っ直ぐで誠実だったあなたの
強くて美しい魂
ありがとう、お父さん
私は私の中にあなたがあると知って
自分を少し誇れるようになったよ。
怯む事なく信じた未来を
顔を上げて歩いて行くから。
最愛の父の命日に、冥福を祈って