夢かよふ

古典文学大好きな国語教師が、日々の悪戦苦闘ぶりと雑感を紹介しています。

日本酒紀行(9)八海山・庭のうぐいす・山和

2013-06-21 23:39:27 | 日本酒紀行


八海山・特別純米原酒
八海酒造(新潟・南魚沼市)のお酒。
アルコール分17.5度、精米歩合55%。

食前酒的な感じで、小ぶりのグラス一杯分だけいただいた。
店長が薄く削ったシャーベット状の氷を半分ほど入れた上に、お酒を注いでくれ、オンザロックで味わう。
味がしっかりしているので、こうして飲んでも味が崩れない。
夏の夜にぴったりという感じの飲み方。口にすると、ひんやりとさわやかな涼気が立ちこめ、暑さも忘れてしまう。

庭のうぐいす 特別純米 夏がこい
山口酒造(福岡・久留米市)のお酒。
アルコール分15度、精米歩合60%。
日本酒度+6、酸度2.5。

水かと思うほどクセがなく、飲みやすい淡麗な酒である。
香りも味もほのかで、上品な風味だが、正直少々物足りなく感じてしまった。

山和 特別純米 中取り原酒
山和酒造(宮城・加美郡)のお酒。
アルコール分17度以上18度未満、蔵の華100%使用、精米歩合60%。
日本酒度+3、酸度1.8。

最後に本命が来た感じ。中取りといって、贅沢に美味しいところだけを取った、うまみの強いお酒という説明を受けたが、すでに鼻や舌があまり利かなくなっており、とてもおいしかったとしか言えないのが情けない…。


それにしても、このお店でお酒を飲む時いつも感心するのは、店長がどんなに忙しい時でも、必ず持ってきたお酒について説明してくれることだ。
店長が言っていたのだが、先日、お店の仕事が終わった後、同僚と駅前の居酒屋に飲みに行ったとき、八海山を頼んだら、そこそこ高い値段でいいお酒なのに、バイトのお姉ちゃんがただ持って来て、ただ置いていっただけなので、残念に思った。やはりどんなお酒で、どんな風に味わうのがよいかということをお客さんに説明するのも、おもてなしではないだろうかと感じた、ということだった。

フランス料理のレストランなどでは、ソムリエがお客の要望を聞いてワインを選んだり、給仕をしたり、ワインの説明をしてくれたりする。居酒屋と一緒にしてはいけないかもしれないが、いいお酒を供するときは、お客さんと会話したり説明をしたりしてその心を開き、美味しく飲んでいただく、というのも味のうちなのだ、と店長が考えておられるのがよくわかった。

我々はとかく、いい物を扱い、いい仕事をしていれば、説明は必要ないと考えがちだ。
しかしそれは独りよがりの見方で、実際はひとかどの人物ほど自分の仕事を上手に説明し、最高の満足を味わってもらえるように努力している(それが自然に身についている)。この店長には、そういう面で啓発され感化されることが非常に多い。
また次にお店に訪れる機会を楽しみにしている。