LE REGARD D'ALAIN DELON

アラン・ドロンさんの魅力を探ります。

L'INSOUMIS (1)

2008-06-08 | THE 60'S CINEMA
1964年、当時29歳のアラン・ドロンさんが初めて映画の製作に乗り出した
記念すべき作品『さすらいの狼』をご紹介します。
http://www.imdb.com/title/tt0058232/

この作品は現在国内海外ともにDVDはおろかビデオやLDでも
一切発売されたことのない幻の作品となっています。
このたびブロンディーりおな様のおかげをもちまして
海外でテレビ放送された映像を観ることができました。

30数年ぶりに観た本作は、世間での「失敗作」という烙印が嘘ではないかと思うほど
私にとって十分にその映画的興奮を堪能することができる名作でした。
これが監督作品2本目というアラン・カバリエの緊張感のある演出、
撮影クロード・ルノワールの作り出す美しい白黒映像、
少ない時間ながらも強い印象を残すジョルジュ・ドルリューの音楽、
そして何よりも孤独な一匹狼を演じるドロンさんの熱演が見事です。

脇を固める共演俳優陣も個性豊かな面々で、
この作品のあと『高校教師』で再度共演するヒロイン役レア・マッサリ、
ドロンさんとの共演は珍しいジョルジュ・ジェレ、
ベルモンドの『相続人』の私立探偵役で印象に残る演技を見せたモーリス・ガレル、
『暗黒街のふたり』でジーノに引っぱたかれる隣人を演じたロベール・カステル
などなど、少ないながらも各自印象的な演技を見せてくれます。

物語は前半の誘拐事件から、中盤の主人公とヒロインの再会、
終盤の主人公たちの逃亡劇、というわかりやすい構成です。
公開当時、本作はあるトラブルによって内容が変更されてしまい、
興行的には失敗してしまったようですが、
(この事情については次回に記載します。)
映画はテンポ良く一気に進んでいくため、
私は特にとまどうことなく楽しむことができました。

ただしこの失敗によりドロンさんは本国フランスを捨て、
アメリカ行きに心がますます傾いていくという
おまけがついてくる結果となってしまいました。

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