前回の続きです。
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『ボルサリーノ』はアメリカン・タッチのギャング映画であり、
当時このような分野では『シシリアン』や『さらば友よ』などにおける演技で
アラン・ドロンの方がより輝いていた。
一方のジャン・ポール・ベルモンドは『ある晴れた朝突然に』の主演で失敗して以来、
このようなジャンルの作品への出演はなかった。
二人のスターは『ボルサリーノ』の撮影中、いつも互いにいがみ合っていた、
などという記事をよく見るが、それは全くの誤りである。
彼らの「けんか」は撮影終了後の期間のみに起こったに過ぎない。
しかもそれはあくまで契約上の問題であって、長引くことなく和解した。
当時二人は互いに攻撃し合い、そして二人とも失敗していたので
新聞社が強力に仲裁に入ったのであった。
“二人がけんかしたのは事実だよ。”1977年にドロンは告白した。
“でもそれは決して映画の宣伝行為でもないし、
ましてや二人の気まぐれからのものでもなかった。
あれは私のミステイクによるところが大きかったんだ。
あるいはあの映画で私がプロデューサーでもあったということに対する
ジャン・ポールの無理解にも原因はあった。
つまり契約条項に関して二人の認識が違っていたということなんだ。
決して気まぐれなけんかなどではなく、それなりの理由があった。
ある日私たちは話し合って和解したんだ。
もうこのような愚かなことに時間を費やすことはやめようって。”
(Cine Revue誌 1977年11月28日号)
『ボルサリーノ』はもともとアラン・ドロンの発案により
実在したマルセイユの有名な二人のギャングの人生を描こうとしたものだった。
そしてドロンは企画当初からベルモンドを共演者として想定していた。
しかしプロジェクトが進行する途上で、
物語のモデルとなる二人のギャングたちの関係者たちからの圧力が加わり、
ドロンは史実のリアリティーを追求することは断念することになった。
そして企画そのものはフィクションへと移項し、
主人公二人のキャラクターは名前を変えて、
フランソワ・カペラとロック・シフレディとなったのだ。
ロックの名前は映画のスタッフであるマネージャーの名前から取ったもので、
映画の成功とともにその名前も知れ渡ることになった。
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次回に続きます。
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『ボルサリーノ』はアメリカン・タッチのギャング映画であり、
当時このような分野では『シシリアン』や『さらば友よ』などにおける演技で
アラン・ドロンの方がより輝いていた。
一方のジャン・ポール・ベルモンドは『ある晴れた朝突然に』の主演で失敗して以来、
このようなジャンルの作品への出演はなかった。
二人のスターは『ボルサリーノ』の撮影中、いつも互いにいがみ合っていた、
などという記事をよく見るが、それは全くの誤りである。
彼らの「けんか」は撮影終了後の期間のみに起こったに過ぎない。
しかもそれはあくまで契約上の問題であって、長引くことなく和解した。
当時二人は互いに攻撃し合い、そして二人とも失敗していたので
新聞社が強力に仲裁に入ったのであった。
“二人がけんかしたのは事実だよ。”1977年にドロンは告白した。
“でもそれは決して映画の宣伝行為でもないし、
ましてや二人の気まぐれからのものでもなかった。
あれは私のミステイクによるところが大きかったんだ。
あるいはあの映画で私がプロデューサーでもあったということに対する
ジャン・ポールの無理解にも原因はあった。
つまり契約条項に関して二人の認識が違っていたということなんだ。
決して気まぐれなけんかなどではなく、それなりの理由があった。
ある日私たちは話し合って和解したんだ。
もうこのような愚かなことに時間を費やすことはやめようって。”
(Cine Revue誌 1977年11月28日号)
『ボルサリーノ』はもともとアラン・ドロンの発案により
実在したマルセイユの有名な二人のギャングの人生を描こうとしたものだった。
そしてドロンは企画当初からベルモンドを共演者として想定していた。
しかしプロジェクトが進行する途上で、
物語のモデルとなる二人のギャングたちの関係者たちからの圧力が加わり、
ドロンは史実のリアリティーを追求することは断念することになった。
そして企画そのものはフィクションへと移項し、
主人公二人のキャラクターは名前を変えて、
フランソワ・カペラとロック・シフレディとなったのだ。
ロックの名前は映画のスタッフであるマネージャーの名前から取ったもので、
映画の成功とともにその名前も知れ渡ることになった。
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次回に続きます。