LE REGARD D'ALAIN DELON

アラン・ドロンさんの魅力を探ります。

「ジェフ」の解説 by 淀川長治

2016-04-20 | TRIVIA
淀川長治さんの日曜洋画劇場での「ジェフ」の解説を文字起ししましたのでご覧ください。

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ジェフとは何だろう、はい、ごらんなさい、ごらんなさい、
ジェフ、その人物がだんだんだんだん浮き上がってきます。
さあこの映画、ギャング映画ですから男と男の匂い、あるいは友情 あるいは裏切り、
きびしいきびしい男の世界が出てまいりますけれども、
さっき言いましたように、フランス映画、さあこのキャメラマン、ジャンジャック・タルベ、、
これがきれいなキャメラ、きれいなキャメラでみなさんはなんというカラータッチ、
カラーデザインがキレイだと思いながら中身はこわい男の殺気立ったギャング映画、これがアメリカと違いますね。

主演はアラン・ドロン、それにミレイユ・ダルク
あのミレイユ・ダルク、さあみなさんそうですね研ナオコさんにちょっと似ていますね。
このアラン・ドロンとそれからミレイユ・ダルクはこの映画でいよいよ仲良くなりましたね。

このほか「雨上がりの天使」のフレデリック・ド・パスカルがでてまいります。
い~い顔合わせです。

そしてこの映画の監督はジャン・エルマンです。「さらば友よ」の監督です。
さあこの映画、1969年のこの映画、本当にフランスのムードを嗅いでください。
ギャング映画、けれどもフランスの香りをかいでください。
はい、それではまた後で会いましょうね。

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はい、いかがでしたか?
あの拳闘のジムですか、あの拳闘場、むこうに異様な男とアラン・ドロンの格闘になりますね。
あのときのムード、あのときの演出、すごいですね。
あの大きな電器の傘がパーンとゆれましたね!!
さあ、あの電器の傘がゆれる、電器が揺れる、すると光が走る、影が、影が揺れる、
むこうでのこの生きるか死ぬかのあの異様な殺気、
あ~あ~見事な演出でしたね、

けれどもこの映画、ラストシーンが、ラストがまた何とも知れん如何にもイカしたムードを出しましたね。
さあこの映画、いかにもイカしてました。男の匂いを出しました。
けれどもやっぱりマカロニと違いますね。フランスの感覚が見事に出ましたな~。

このジャン・エルマンという監督、なかなかイカしてます。「さらば友よ」の監督です。
この人はフランス人です。けれどもインドのボンベイで、なんとフランス文学の大学校の先生やってたんですね。
それが映画に入りました。映画が好きで。
そしてなんとイタリアであのロベルト・ロッセリーニ、「戦火のかなた」、
あのロベルト・ロッセリーニ監督の助監督になって、ずーっと修業したんです。
だから今日のギャング映画、今日のギャング映画の中にもいかにもムード、いかにも映画のムード、
それがあふれて、しかも裏切りか裏切りでないか最後までどんどんどんどん引っ張っていきましたね。

そこにアラン・ドロンが何とも知れん、いーい芝居しました。
これがアラン・ドロンだから、また感じ(が)出ましたね
そしてあのミレイユ・ダルクの不思議な女の感覚もやっぱりこの監督ゆえにあげてきました。
見事なムード映画でしたね。

はい、もう時間が来ました。

それでは次週をお楽しみください。
サヨナラ、サヨナラ、サヨウナラ。

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日曜洋画劇場 旧エンディング曲  「 So In Love 」 - YouTube
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『アラン・ドロン映画祭 byエテルネル・アラン・ドロン』のご報告

2016-04-09 | 生誕記念イベント
大変遅くなってしまいましたが3月26日土曜日に東京の中央区立日本橋公会堂で開催されました『アラン・ドロン映画祭byエテルネル・アラン・ドロン』についてご報告させていただきます。

当日は2本のドロンさんの代表作『高校教師』と『太陽がいっぱい』のDVDの映像を大型プロジェクターを通じて劇場の大きなスクリーンに上映し、
ホームシアターや家庭用の音響システムでは味わうことのできない素晴らしい映像と音響効果による臨場感をたっぷりご堪能いただくことができたのではないかと思います。

私自身も『高校教師』を劇場で鑑賞するのは今回が初めてで、これまで以上にこの作品に込められた作者(であり監督)の深い想いや、ドロンさんの緻密な演技、メイナード・ファーガスンのトランペット演奏の音楽のすばらしさを再確認することができました。

また『太陽がいっぱい』は、記憶が定かではないのですが、確か地元神戸で開催されたポートピア’81博覧会の中のイベントの一つとして開催されたポートピア映画祭の上映で鑑賞して以来のことで、それぐらい劇場での鑑賞は久しぶりのことでした。

今回上映した『太陽がいっぱい』のDVDは、映画の最後、あの有名なラストシーンの後に画面が真っ暗になってからもう一度テーマ音楽が流れるバージョンで、現在発売されているデジタルリマスター盤のDVDにはそれがありませんので、ある意味貴重な上映だったかもしれません。
ご覧になられた皆様はどうお感じになられたでしょうか?
大画面と大音響で鑑賞する『太陽がいっぱい』は、テレビ画面で見ている時に比べてニーノ・ロータの音楽が非常に大きく画面の奥で鳴り響いていて、その効果は絶大なものであったなと改めて感じ入りました。

現代では以下のサイトで簡単に聴くことができるようになりましたが、
Plein Soleil (Bande Originale de Film) by Nino Rota on iTunes
日本初公開から数十年に亘ってサントラ盤は発売されていなかったという事実を鑑みますと、音楽を含めたこの作品の真価は今だからこそもう一度見直しておく必要があるのではないかなと思っております。

映画祭当日は150名ほどの方々にご来場いただきましたが、年代層は恐らく私と同じ、あるいは上の世代の方々が大半で、昔を思い出しながら懐かしいひとときをお過ごしいただけたのではないかなと思います。
2作品の上映が終わった後のロビーでお一人の男性の方が私たちスタッフのところに近づいてこられ
「今から54年前に私たち夫婦が初めて映画館で観た映画がこの『太陽がいっぱい』でした。今日こうやってまた夫婦揃ってここでこの映画を見ることができて大変うれしかったです。」
というありがたいお言葉を頂戴しました。

そのようなお言葉をいただけただけでもこの上映会を開催して本当に良かったなと思っております。
ご来場いただいた皆様誠にありがとうございました。
今後もこういったドロンさんの名作を大スクリーンと大音響で味わうことのできる機会を設けていければと考えております。

最後に
『高校教師』は数日前から再編集版の記事をアップしてきましたので『太陽がいっぱい』の昨年の再編集版の記事リンクを以下にご紹介させていただきます。

太陽がいっぱい PLEIN SOLEIL(1)
太陽がいっぱい PLEIN SOLEIL(2)
太陽がいっぱい PLEIN SOLEIL(3)
太陽がいっぱい PLEIN SOLEIL(4)
太陽がいっぱい PLEIN SOLEIL(5)

また以下の懐かしい動画(音声のみですが)を見つけましたので併せてご覧ください。

淀川長治 解説 " 太陽がいっぱい " (音声のみ)
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