LE REGARD D'ALAIN DELON

アラン・ドロンさんの魅力を探ります。

Doggy (2)

2008-08-03 | INTERVIEW

前回ご紹介したアラン・ドロンさんの最新インタビューの和訳です。

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Eric Romain(インタビューアー以下ER):
アラン、あなたはDoggy誌のインタビュー取材の依頼にイエスとお返事を下さり、
今日その約束を守ってくださいました。
なぜ私の依頼を承諾してくださったのですか?その理由をお聞かせ下さい。

アラン・ドロン(以下AD):
Doggyという雑誌は犬の為の雑誌であり、人間を扱ったものではない雑誌だ。
引き受けた理由はそれだけさ。犬や動物たちを救うためだよ。
毎日新聞を読んでいると驚かされることばかりだ。
バカンスの期間の前に捨てられる犬がどんどん増えているといった昔のニュースはもう見なくなった。
今日の状況はさらに悪くなっていて、バカンスの時期に関係なくいつでもだ。
動物が捨てられるということだけを言っているのではない。
耳をカットされたり、皮をはぎとられたり、本当に驚くことばかりだよ。
私はこんな記事も読んだよ。つい最近のことだ。
今日の休暇の分配という政策による休日と労働時間の縮小が、
人々をよりペットを捨てることに向かわせているということだ。
それは当然だろう。でもじゃあ人々はなぜ動物を飼うのだろう?
問題はまた別のところからきている。みんなこう言うんだ。
「ああ、なんてキュートでかわいいんだろう!」ってね。
そして子犬を家に連れ帰って、3年も経つと捨てられてしまうんだ。
本当にかわいそうだと思う。

ER:子供の頃はみんな動物が好きですよね。あなたの子供時代はどうでしたか?

AD:私が人生で最初に飼った犬はGALAという名前の犬で、
いつも私の頭の中に思い出とともに彼の姿が浮かんでくるよ。
彼の墓は今ドゥーシーの私の家のそばにあるよ。
彼はドーベルマン犬で、ある人からプレゼントされたんだ。
私は犬が涙を浮かべることがあるというのを彼を飼って初めて知ったんだ。
あるとき彼をかわいがっていて、何かがあって私は彼を大きな声でどなったんだ。
何をやらかしたのかは覚えていないんだけど、
すると彼は私のそばにやってきて私を見つめて泣いているんだよ。
これはとてもショックだった。
私はいつも犬を愛してきた。
若い時からずっと犬が好きで飼い続けているんだ。
彼らは僕の隣人であり友人でもあるんだ。
私が子供の時に初めて好きになった犬は赤毛のボースロンだ。
これは本当に特別な犬だったよ。
それ以降、今の仕事を始める前、軍隊にいて犬を飼う機会に恵まれない時から
ずっと私はいつの日か犬を飼いたいと思いつづけていたんだ。
そのときはまだ自分がまだ今の俳優アラン・ドロンになろうとは想像もしていなかったけれどね。
私は犬たちを笑わせることができるんだよ。ほら笑っているだろう!
私は犬たちが笑っているのか泣いているのかがわかるんだ。

ER:あなたの友人たちは皆あなたが友情というものを信奉されているとおっしゃいます。
しかしあなたはまた犬や動物たちにも深い愛情を示します。
彼ら動物たちと人間との違いは何でしょうか?

AD:彼ら動物たちはみな人間と同じぐらいの優れた資質を持っているよ!
人間よりも欠点は少ないぐらいだ。
人間の欠点というのは数えきれないくらいあって言葉には表せない。
一方動物たちは飼い主に対して忠誠心を持っている。
飼い主がどんな人間か、何をしている人間か、動物たちはそんなことは一切知らないんだ。
私は街中のホームレスの人たちに飼われている犬たちにいつも感動させられるんだ。
彼らは自分たちの飼い主がホームレスだということは知らない。
だが犬たちは主人をまるで父親のように愛している。
それはまるでミッテランの飼い犬のラブラドールが
自分の主人が共和国の大統領で一国の主であることを知らないのと全く同じなんだよ。
私の飼い犬たちも私がアラン・ドロンであることを知っていると思うかい?
彼らにとってそんなことはどうでもいいんだよ。
私の犬たちは私を愛してくれている。
彼らは私が誰で、何をしているかなんて知りやしない。
これこそが完全な愛情といえないかい?
一切思惑のない完璧な愛情、純粋で真実の愛情なんだよ。

ER:あなたとあなたの犬たちとの間には何か儀式のようなもの、
あるいは特別なしきたりといったものがあるのですか?

AD:ひとつだけあるかな。いっしょにいる運転手にも聞いてみたまえ。
今私は1匹の猫を含めて4匹の動物たちを飼っているんだけど、
田舎の別荘を発つとき、街に出ていくためのシャツに着替えていると
私の犬Shalva(雑誌の表紙に映っている犬だよ、)は態度を変化させるんだよ。
彼には私が出発することがわかるんだ。彼の瞳を見ればわかるよ。
いつもはどこへでも私の後を付いてくるのに、動かなくなってしまって、
もうそんな行動はとらなくなる。私が発つことを知っているからだ。
これが犬の優れているところだよ。
彼は主人が出ていくことがわかっていて、
しかもいつ帰ってくるのかわからないのだから大いに不安に駆られているはずだ。
まるで自分の父親が家を出て行っていつ帰ってくるか分からない状態と同じだろう?
だが彼らは皆おりこうにしているんだよ。
そんなときは彼に「また帰ってくるよ」と言ってあげるんだけど彼にはそれが理解できない。
私は真の孤独というものは私が発つときに犬たちの瞳に宿っているものだとわかったんだ。
ちょうど今のように3匹の犬たちと彼らのもとにやってきた3本足の猫が
台所で私の周りにやってくるんだ。
彼らはそこにいて、私が発つことがわかっていて、心配そうな顔で私を見るんだ。
彼らは私の車を知っているし、ドライバーの顔も知っている。
外出するときの私の服装も知っている。彼らは悲しいんだ。

ER:あなたは家を出て行くときに一緒に犬たちを連れて行かないのですか?

AD:私は決して彼らを連れては行かないよ。彼らには外の世界は耐えられないからさ。
犬たちは私の家で生まれたんだ
(Shalvaはシベリア出身でCharraはチベット出身のチベタン・マスティフ)。
だから彼らは私の家で生き、私の家で死ぬんだ。

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次回に続きます。
Comments (6)
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