LE REGARD D'ALAIN DELON

アラン・ドロンさんの魅力を探ります。

L'un contre l'autre

2010-02-28 | TRIVIA
前回ご紹介しましたBertrand Tessier著"Delon & Romy un amour impossible"より、
ドロンさんがロミーの死の直前まで企画していたとされる作品
"L'un contre l'autre"(="One against another")
について記述された部分を翻訳してみました。
今までこの作品の内容については私には全く情報がなかったのですが、
初めてその内容の一部が明らかにされました。

(添付画像はドロンさんが『ポーカー・フェイス』、ロミーはClair de femme (1979)のものをミックスしました。)

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非常に痛みを伴うものではあったが、
『サンスーシの女』の撮影はロミーにとって一種の悪魔祓いの儀式のようなものであった。
それはまるで、彼女の傷口に熱した鉄を当てたようなものであった。
しかし、彼女の復帰は脚光を浴びることはなかった。
そして彼女はこれまで以上に当惑し途方に暮れてしまった。
仕事を休まないと彼女の苦悩が解消されることはなかった。
仕事をしないで、熟慮し、巻き返しを図ることが必要だったのだ。

「彼女は仕事をすることで大きな慰めを得ていました。」ジェーン・バーキンはこう証言している。
「映画の撮影というものは暖かいものです。常に人々が周りにいるし、みんなが自分をケアしてくれます。
映画人にとってそれが人生そのものであり、しかもそれは困難なものなのです。
しかし映画という小さな世界の中で、私たちはロミーがもう尽き果ててしまっていたと感じていました。」

「 私が当時持っていた映画のプロジェクトは、ドロンとの共演作以外はありませんでした。」
と彼女のエージェントだったジャン=ルイ・リビが今日明らかにした。

ドロンは、確かに、ロミーとふたたび共演する映画の計画をあきらめてはいなかった。
ピエール・グラニエ・ドフェール、ジャン・オーランシュとミシェル・グリゾアが
彼らの共演作品“L'un contre l'autre”のシナリオ執筆の為に必死で働いていたのだ。

「すぐにロミーが演じる役柄は出来上がったんだ。」ミシェル・グリゾアはこう証言する。
「サン・セバスチャンで静養している一人の女性。
海岸沿いの大きく悲しげなホテルの中で一人で孤独にいる彼女は
いったい何かの病いに犯されているのだろうか?
それとも何か生きるのが苦しいくらいの悩みがあるのか。
そこにどこからともなく一人の男が現れる。革のジャケットを着たサムライだ。
瞬く間に二人は激しい情念を燃やし合う。
そしてヨットのデッキの上から彼女は彼を水の中へ突き落とす。
月日が流れ…もう一人別の男が現れる。 彼は同じ男なのか、それとも兄弟なのか?
やがて二人は身を落ち着けることになる。
そこには脅威、あい昧さ、疑い、そして嘘が存在していた。」

時々、ロミーはシナリオ作家たちの前に現われて聞いてきた。
「ねえ、アランはこの作品をまだやる気があるのかしら?」
「もちろんだよ、彼は常にこれをやりたいと考えているさ。
だがこのフィルムはドロンがロミーに抱いている賞賛の域にまで達するレベルの作品であるべきと彼は望んでいるんだ。
だから彼は何度もシナリオに書直しを要求してきているし、
最終的には1982年の夏まで撮影の時期が延期してもかまわないと考えているんだよ。」

「私達には確かにこのプロジェクトが存在はしていたんだが、
私は実現しないんじゃないかという予感はあったんだ。」ドロンはこう告白する。
「私はローソクの小さい火が消えていくように彼女の息が絶えていくのではないかと感じていたんだ。
彼女は弱っていった。 彼女はもう生きていくことはできない、ましてや仕事など到底無理だ。
私は彼女が小さくなっていくのを目の当たりにしていたんだよ。」

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ドロンさんの予感通り、結局ロミーは1982年の5月29日に永遠に帰らぬ人となりました。
この作品が脚本家の話し通りのプロットだったとしますと、
後年のゴダール監督作品『ヌーヴェル・ヴァーグ』によく似ていることに気付きます。
ドロンさんはこのときどのような心境で撮影に臨んだのかと興味が湧くところです。
もしかするとロミーとの実現しなかった企画の主人公に一歩近づきたかったのかもしれません。
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Delon & Romy un amour impossible

2010-02-17 | THE BOOKS
今年に入ってフランスで発売されたドロンさんに関する本をいくつかご紹介していきます。

まずはドロンさんとロミー・シュナイダーの愛の遍歴にテーマを絞った
Bertrand Tessier著"Delon & Romy un amour impossible"です。

総ページ枚数が245とかなりのボリュームで、
二人の出会いからロミーの死に至るまでを本人たちの当時の証言を交えながら
かなり克明に記載されています。

全編フランス語ですので書いてある内容についての理解は乏しいとはいうものの
もうすでにいろんな本や雑誌で目にしてきた情報が頭に入っていますので、
なんとなくここで書いてあることはあのときのことなんだなと推測することは可能です。

本書で私が最も着目したのは終盤のロミーの死の直前まで企画されていた
ドロンさんとの共演作品についての情報が記載されていることでした。
これまでどの本にも書かれていなかったこの作品のストーリーを
次回はご紹介したいと思います。

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D'URBAN (26)

2010-02-13 | CM FILMS
これはもう超有名な1974年の「ハンティング」バージョンからのスチールです。
放映当時も大反響だったと掲載記事にもコメントが書かれています。
小林亜星氏の音楽も最高でした。
ダーバン



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D'URBAN (25)

2010-02-12 | CM FILMS
これは何年のものかはわかりませんが、ドロンさんの風貌から推察しますと
やはり70年代前半のものではないかと思われます。
ドロンさんのとても自然な表情が素晴らしいスチールです。
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D'URBAN (24)

2010-02-11 | CM FILMS
このCMの本編映像は私見た記憶がないのですが、
Tomo様のD'URBANで調べてみますと恐らく1973年のものではないかと思います。

後年の『真夜中のミラージュ』のファースト・シーンを思い起こさせる印象的なスチールです。


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D'URBAN (23)

2010-02-09 | CM FILMS
久しぶりにダーバンのスチールです。
私のブログには「ダーバンCM」を検索してお見えになる方がたくさんいらっしゃいますので
少し手持ちの画像をアップしていきます。

この写真に出てくるような場面はCMの映像には出てこなかったように記憶してます。
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LES AVENTURIERS

2010-02-07 | Dossiers de Presse
『冒険者たち』のパンフレットです。
ただしこれは1977年にリバイバル公開された際のものです。

解説と出演者たちの紹介のほかに目を引くのが「ロケの話題」のコラムです。
ここではロケ撮影の地とそこでのドロンさんの撮影の様子として、
「何事にも徹底するロベール・アンリコ監督の演技指導の厳しさは定評のあるところだが、
それにもましてアラン・ドロンの意気込みは大変なもので、
髪はボサボサ、ヒゲは伸び放題にし、
ウェット・スーツのかわく暇もないほどのテストの繰り返しも進んでやる。」
と書かれてます。

唯一の解説文は故小森和子様の寄稿によるもので、
当時の映画雑誌でもよく目にしてきたような、映画のストーリーを忠実に紹介しながら、
そこにご自身の思いをはさみ入れるという独特の文章を楽しむことができます。

最後のページはどういうわけか英語でストーリー紹介文が書かれています。
映画の結末のところまで書かれたネタばれの文章なので、
あえて日本語にしなかったのでしょうか?謎です・・・
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FROM MY NEW SCRAP BOOK (62)

2010-02-03 | THE BRILLIANT PHOTOS
『冒険者たち』から、
ラロシェルでロケ撮影中のドロンさんのスナップ写真の数々です。
ボワイヤー砦に向かう小舟の中での姿など
後半のシーンに向けて準備中の様子がとらえられています。
ロベール・アンリコ監督や共演者たちの姿も見ることができます。
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AVEC JOANNA

2010-02-02 | THE BRILLIANT PHOTOS
『冒険者たち』ロケ撮影中のドロンさんとジョアンナ・シムカスのスナップ写真です。
シムカスの自然な笑顔がいいですね。

Comments (2)
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