以前このブログでアラン・ドロン・ブランドの着物発売キャンペーンとして開催された1987年の秋田での着物パーティーの模様を4回に分けてご紹介しましたが、
(1987 KIMONO DINNER PARTY
(1)(2)(3)(4))
今回はこの同じ来日時の愛媛県松山市での着物パーティーをご紹介します。
秋田の時と同様、この松山でのパーティーもドロンさんのエンターテイナーとしての素晴らしい魅力が炸裂します。
第1回目の今回は恒例の参加者からの「質問コーナー」前半をお届けします。
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ではまず第1の質問者から。
「日本の映画に関係されてきた作品の中で一番のお気に入りはどの作品ですか?」
という質問がされますが、これには会場の人も含めてドロンさんも「?」で、それでもドロンさんは
「三船敏郎と一緒に出た『レッド・サン』1本しか撮っていないので『レッド・サン』ですね。」
と丁寧に答えます。
2人目の質問者は自分で書いてきたメモを読みながら一生懸命にフランス語であいさつをします。
彼女の発音があまりに日本語調なので会場が笑いに包まれますが、ドロンさんも彼女のメモを取りあげて中身を確認します。
するとその紙には発音が全て日本語で書いてあったようでドロンさんは大笑い。
彼女のけなげな努力を意気に感じたのでしょう。
今度はドロンさんが彼女に対してゆっくりとフランス語であいさつし、彼女ももう一度メモに目をやりながら応えます。
つづいて彼女から
「数々の映画を見せていただいたのですが、きれいな女優さんたちとのラブシーンが非常にうらやましいのですがキスのシーンは本当にキスをされているのですか?」
と大胆な質問です。
ドロンさんはそれに対して
「よく(キス・シーンを)見ましたか?観たのですか?」と逆質問で切り返し、彼女が答えに詰まっていると、いきなりドロンさんからキスのプレゼントがされて、当然のごとく彼女は撃沈です。
3人目の質問者の方からは
「10年前にパリの住所を調べて会いに行ったんですが、引っ越されていて会えませんでした。」
と言われると、ドロンさんは
「10年前にお目にかかっていれば二人で●●(通訳の声が聞き取りにくくわかりません)だったのに残念でした。」
と軽くかわします。
つづいて4人目の方はドロンさんと直接会話をするためにフランス語を勉強したらしく2人目の方と違いメモも見ずに一生懸命にフランス語で話し出します。
すると、ドロンさんは会場の空気を一瞬にして感じ取り、
「ここまであなたが仰った内容はここの日本の方にはわからないので訳してもらいますね。」
と彼女を傷つけないようにやさしく諭すように語りかけます。
そして通訳の方が彼女の言葉を訳し終えると、次に彼女は、
「あなたの香水のにおいを知りたいのです。なので私にキスをして下さいますか?」
と大胆なリクエストをフランス語でドロンさんに言います。
するとここで驚くべきことなのですが、
彼女がフランス語で語っているので意味は十分ドロンさんはわかっているはずであるにも拘わらず、通訳の方がこの言葉を日本語で訳し終えて会場が反応するまで、ドロンさんは壇上から全く降りようとはしません。
そして訳し終えて会場がどよめいた途端、舞台を駆け下りて彼女のもとに向かいます。
(ドロンさんのこういう間の取り方の見事さには舌を巻きます。)
そして汗をたっぷりかいたドロンさんは会場の方にハンカチを借りて汗を拭きながら壇上に戻っていきます。
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次回に続きます。