前回のインタビューの続きです。
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Q“『さすらいの狼』はアルジェリア戦争(1954年~1962年)について描かれていますね。
この戦争についてフランス本国の映画人たちはあまり取り上げようとはしません。
たとえば数多くのアメリカの製作者たちがベトナム戦争を映画化することに取り組んでいるのに対して、
なぜフランスの映画人はこの戦争について取り上げることをいやがるのでしょうか?”
AD“ベトナム戦争は多くのアメリカ人の頭の中に現実の問題として今でも存在しているし、
あの戦争で闘って帰還した人たちは今も心に傷を持ち続けている。
一方私たちフランス人はアルジェリア戦争のことはもう忘れてしまっている。
もうあの戦争のことはどうでもよくなってしまっているんだよ。
戦争中に生まれた今の20代の若者たちはあの戦争に全く関心を示さない。
彼らの親の世代でさえ、あの戦争のことについて話しをしようとしない。
こんな状態でいったい全体誰がこの戦争について映画にしようとするだろうか?
ポール・ボンヌカレールがPar le sang verséを出版して以来
20数年近くの間、(←この部分、私の知識不足で意味不明です。)
私のこの映画も含めてすべての製作会社が失敗しているんだ。
結局アルジェリア戦争の外人部隊というテーマは観客動員には結びつかないのさ。
一方のアメリカではベトナム戦争の傷跡は今も残っている。
精神的に痛手を被った兵士たち、
父親を戦争で失い心に傷を負った子供たちが今でも何千人と存在しているんだよ。”
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ドロンさんがことさらに政治的発言をしているというわけではありませんが、
暗にフランス人のアルジェリア戦争に対する無関心を批判している言葉が出た
大変珍しいインタビューだと思います。
若いころに実際にインドシナ戦争に参加した過去を持つドロンさんとしては、
この映画の物語に恐らく当初かなりの思い入れがあったのではないかと想像に難くないのですが、
興行的な大失敗という結果を目の当たりにしても挫折することもなく、
その敗因を冷静に分析し次の仕事に向けての肥やしとしているところが
ドロンさんの常人とは異なる優れたところです。
ドロンさんはこの作品の失敗の後、さらにハリウッド進出にも失敗しますが、
この大きな試練を持前の努力で克服し、30歳代後半には見事に復活を遂げていきます。
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Q“『さすらいの狼』はアルジェリア戦争(1954年~1962年)について描かれていますね。
この戦争についてフランス本国の映画人たちはあまり取り上げようとはしません。
たとえば数多くのアメリカの製作者たちがベトナム戦争を映画化することに取り組んでいるのに対して、
なぜフランスの映画人はこの戦争について取り上げることをいやがるのでしょうか?”
AD“ベトナム戦争は多くのアメリカ人の頭の中に現実の問題として今でも存在しているし、
あの戦争で闘って帰還した人たちは今も心に傷を持ち続けている。
一方私たちフランス人はアルジェリア戦争のことはもう忘れてしまっている。
もうあの戦争のことはどうでもよくなってしまっているんだよ。
戦争中に生まれた今の20代の若者たちはあの戦争に全く関心を示さない。
彼らの親の世代でさえ、あの戦争のことについて話しをしようとしない。
こんな状態でいったい全体誰がこの戦争について映画にしようとするだろうか?
ポール・ボンヌカレールがPar le sang verséを出版して以来
20数年近くの間、(←この部分、私の知識不足で意味不明です。)
私のこの映画も含めてすべての製作会社が失敗しているんだ。
結局アルジェリア戦争の外人部隊というテーマは観客動員には結びつかないのさ。
一方のアメリカではベトナム戦争の傷跡は今も残っている。
精神的に痛手を被った兵士たち、
父親を戦争で失い心に傷を負った子供たちが今でも何千人と存在しているんだよ。”
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ドロンさんがことさらに政治的発言をしているというわけではありませんが、
暗にフランス人のアルジェリア戦争に対する無関心を批判している言葉が出た
大変珍しいインタビューだと思います。
若いころに実際にインドシナ戦争に参加した過去を持つドロンさんとしては、
この映画の物語に恐らく当初かなりの思い入れがあったのではないかと想像に難くないのですが、
興行的な大失敗という結果を目の当たりにしても挫折することもなく、
その敗因を冷静に分析し次の仕事に向けての肥やしとしているところが
ドロンさんの常人とは異なる優れたところです。
ドロンさんはこの作品の失敗の後、さらにハリウッド進出にも失敗しますが、
この大きな試練を持前の努力で克服し、30歳代後半には見事に復活を遂げていきます。
最後の部分の記事の30歳代の後半の復活!
私は彼の30代前半の作品の多くが大好きです。
“日本人にとって「硫黄島の戦い」はタブーであり、
これまで映画化はされてこなかった”という
イーストウッド自身の言葉が書かれていますが、
フランス人がアルジェリア戦争に目を背けていると言及した
ドロンさんのこのインタビューに相通ずるものを私は感じました。