テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 舞台へ、熱視線 ~

2018-07-02 22:36:50 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 むゥ~んッ! いのりィまスッ!」
「がるる!ぐるるがる!」(←訳:虎です!ボクも祈る!)

 こんにちは、ネーさです。
 2018ロシアW杯、
 決勝トーナメントでは早くもアルゼンチンが、スペインが敗退、と
 開幕前の評価を覆す結果が続出していますね。
 どうか日本も番狂わせをやらかして欲しいわ!と願いながら、
 さあ、本日の読書タイムは、
 こちらの演劇史ノンフィクションを、どうぞ~!

  



    ―― シェイクスピア劇を楽しんだ女性たち ――



 著者は北村紗衣(きたむら・さえ)さん、2018年3月に発行されました。
 『近世の観劇と読書』と副題が付されています。
 前回記事では22世紀を舞台とするSF作品を御紹介しましたが、
 今回は未来とは正反対の、16世紀に目を向けましょう。

  ウィリアム・シェイクスピアさん(1564~1616)。

 世界で最も有名な劇作家さんといえば、この御方よね。

「みんなァ、しッてるのでスゥ!」
「ぐるるがるる!」(←訳:名作に名文句!)

 現在、英語文化圏に留まらず、
 あらゆる国々で《劇聖》と仰がれるシエイクスピアさん。

 ですが、以前はそうでもなかったのだと、
 著者・北村さんは記します。

 広くイギリスの国民詩人を認められる以前は、
 シェイクスピアさん、
 どちらかというと……
 教養のない作家とみられていた?

「ええッ? まさかァ!」
「がるるぐるがるる!」(←訳:語彙の巨匠なのに!)

 教養のない作家から、
 最高の劇作家さんへ。

 この評価の変化っぷりは、何ゆえか、
 誰が、どうやって、
 シェイクスピアさんへの評価を大変換させたのか――

 どうもね、そこには
 女性たちのチカラが強く働いていたみたいなのよ。

「じょせいィにィ、そんなァちからがァ?」
「ぐっるる?」(←訳:あったの?)

 北村さんは示唆します。
 シェイクスピアさんは英文学史上、
 最も古く強力なファンダムを持つ作家である、と。

 そのファンダムを成すのが、
 もちろん男性もいましたけれど、
 少なからぬ数の、中流~上流階級の女性たちなのでした。

 彼女たちは、字が読めて、
 観劇をする時間も余裕もあり、
 人気役者さんのウワサ話をしたり、
 余興で『マクベス』の魔女を演じたり、
 戯曲本を贈り合ったり、
 これは、まるで――

「あいどるのォ、おッかけェ??」
「がるるぐるる?」(←訳:宝塚の出待ち?)

 御本の冒頭では、
 2015年夏、ロンドンのバービカンセンターでの
 出来事が描かれています。

 人気俳優ベネディクト・カンバーバッチさん演じる
 『ハムレット』見たさに、
 劇場は若い女性たちで満杯になりました。

 同じようなことが、
 17世紀の劇場で、宮廷で、
 そして18世紀の英国の女性たちにも起こり、
 シェイクスピアさんは徐々に、
 社会的・文化的地位を高めてゆく――

 国民詩人と謳われるようになったのは、
 シェイクスピアさんの作品を大いに楽しみ、
 こよなく愛した彼女たちの
 “後押し”する力が在ったから。

「かんきゃくゥさんもォ~」
「ぐるがるるる!」(←訳:文化なんだね!)

 モノクロではありますが、
 図版資料、
 系図など参考資料も収録されているこの御本、
 演劇マニアさんに、
 お芝居好きな御方に、
 歴史好きな方々にもおすすめです。

 いまも昔も
 人々を熱狂させる《劇聖》さんの魅力の秘密を、
 皆さま、ぜひ♫
 


 
コメント
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