テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

巨人熊楠、探偵す!

2007-07-29 11:45:24 | ブックス
「くま、くす、さん? 
 くまちゃんの、たんていさん、でスか? ネーさ?」

 違います!
 熊楠(くまぐす)さんは人間さんです。
 それはもう飛びきりの!人間さんなのです。

「なァんだ、テディちゃ、ざんねんでスよ。
 くまちゃんだったら、よかったのにィ……」

 南方熊楠さんは博物学の泰斗、偉大な学者さまです。
 本日は、その熊楠さんが活躍するこちらの御本を御紹介しましょう。


         ―― 異界 ――


 著者は鳥飼否宇(とりかい・ひう)さん、
 ’07年6月発行の新刊です。

「ひょうし、こわいでスよ。おどろ、でスよゥ」

 おどろおどろしい装丁ですが、恐怖の大怪談ではありません。
 ミステリ、なのです。
 しかも、『本格』といってもいいのではないでしょうか。

 舞台がとても凝っています。
 熊楠さんが標本採集に駆け巡っていた頃の、那智、勝浦。
 神々のおわす深い森を背景に、
 人の世ににじみ出てくる謎と不思議。
 
 《事件》が見えてくるまで、
 少々時間がかかるかもしれません。
 けれど、苛立ちや焦燥は無いのですね。
 底流には、ワトスン医師がホームズに抱いたような、
 探偵=熊楠への圧倒的な信頼感があります。
 熊楠さんなら、任せられる。
 きっと謎を解き明かしてくれる、と。
 大船に乗った心地です。
 この際は、那智の森と水に身を任せ、
 ゆったりと終章まで運ばれてゆきましょう。

「どんぶらこォ?」

 どんぶらこの行き着いた先は、
 ……ミステリですから、内緒です。
 でも、これだけは言っておきましょう。
 信頼は裏切られません。
 やっぱり熊楠さん、さすがなのですね!
 お任せして間違いはなかった、と。

 思うに、この一作だけで終わってしまうには勿体無いです。
 続編、ぜひ読みたいですね。
 もっと若かりし頃の熊楠さんや、
 外国での熊楠さんもいいし、
 熊楠さんの許を訪れる有名な学者さんたちも登場したり、
 楽しくなりそうな予感がします♪

「つぎは、くま、
 わすれずに、だしてほしいでスゥ」
 



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 花火のよる。 | トップ | いたわろう、目ン玉。 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブックス」カテゴリの最新記事