テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

音符が、ひらめく?

2012-10-18 23:20:32 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ……うゥッ! どうしようゥ! ふゆがァ、きちゃッたでス!」
「がるる!ぐるぐる~!」(←訳:虎です!寒いよう~!)

 こんにちは、ネーさです。
 急激に寒くなってしまった今日の関東地方……
 ここ八王子ではダウンジャケットを着ている人もいたわ!
 いや、いくらなんでもダウンには早い、ような気がしますが……
 冬ではなくて、読書の秋!を探しに、
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~!

  


 
              ―― ウィンディ・ガール ――


 
 著者は田中啓文(たなか・ひろふみ)さん、2012年9月に発行されました。
 『サキソフォンに棲む狐 Ⅰ』と日本語副題が、
 『Windy Girl  The Fox Dwelling in her Saxophone』と英語題名が付されています。

「きィ~つゥ~ねェ~ッ??」
「ぐるがるるぐる??」(←訳:狐が楽器の中に??)
「それはァ、よッぽどォ、おおきなァ、がッきィでスねッ!」

 いーえ、違います。
 サキソフォンは、ごく普通のサイズですよ。
 普通サイズじゃないのは、狐ちゃんの方です。
 
 おっと、少し先走ってしまいました。
 キツネちゃんについて語る前に、
 説明をしなくちゃなりません。

 活字マニア諸氏――中でもミステリ好きな方々は、
 著者・田中啓文さんの作品を既に御存知でしょうか。
 ミステリ連作集『落下する緑』と、
 その続巻『苦い飴』は以前に拙ブログでも御紹介いたしましたが、
 物語の背景となっていたのは
 ジャズミュージシャンさんたち、
 つまり、プロの音楽家さんたちの世界です。

「でもォ、ここではァ??」
「ぐるるがるるがるぐるるる!」(←訳:表紙の女の子は制服姿だよ!)

 そうなんです、
 この御本の主人公・永見典子(ながみ・のりこ)さんは
 高校の一年生。
 学校の吹奏楽部でサキソフォンを吹いている、
 プロではなく、アマチュアの音楽家さんです。

 そして、典子さん所有のサキソフォンに棲んでいるのが
 狐の……
 えへん、正確には、管狐(クダギツネ)のチコ。
 茶色くて、全長5センチほどの、
 もこもこしたイタチのような……ヤマネのような……
 ええ、やはりいちばん似ているのは、キツネ、ですね。

「くだぎつねッ!
 テディちゃ、しッてるゥでス!」
「がるがるぐるるるがるるっる!」(←訳:不思議な力を持ってるんだよね!)

 そうねぇ、お江戸の昔なら、
 色々と摩訶不思議な術を見せてくれるのかもしれませんが、
 これがイマドキの管狐なのかしら、
 チコちゃん、普段はぐーぐー眠ってばかりいるようです。

 ただ、チコちゃんには、
 観察力があります。
 推理力もあります。
 典子ちゃんと同じものを目にしながら、
 別の解釈に辿り着くチカラが。

 チコちゃんが宿るサキソフォンを腕に、
 吹奏楽の練習に明け暮れる典子さん。
 けれど、彼女の《音楽》に変化が訪れます。

「むむゥ?
 このォおとはッ??」
「がっるー?!?」(←訳:ジャズー?!?)

 吹奏楽部で起こるミステリアスな出来事と、
 典子ちゃんの身辺にひたひたと寄せ来る奇妙な事件……?
 それらは、
 サキソフォンに棲む管狐と
 或いはジャズと、
 どこかで結びついているのでしょうか?

 『落下する緑』よりも若々しく、
 良い意味でライトノベル風に軽やかな、
 シリーズの《序曲》ともいえる第一作です。
 オトナのミステリ好きさんに、
 現役高校生さんにも、
 おすすめですよ~♪

「おんがくゥだいすきィなァ、みなさまもッ♪」
「が~る~♪♪」(←訳:ぜ~ひ~♪♪)


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