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テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 歴史の夢と 科学の夢 ~

2021-01-17 22:35:31 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ……もぐらッ??」
「がるる!ぐるるがる!」(←訳:虎です!モグラだよ!)

 こんにちは、ネーさです。
 確かにいる、と分かっていても、
 実物と出会う機会は滅多にない、という
 ヘンテコな生き物――モグラくん。
 本日の読書タイムは、
 モグラくんたちが橋渡しする
 ワールドワイドなノンフィクション作品を、
 さあ、どうぞ~♪

  



   ―― アラン・オーストンの標本ラベル ――



 著者は川田伸一郎(かわだ・しんいちろう)さん、
 2020年11月に発行されました。
 『幕末から明治、海を渡ったニッポンの動物たち』
 と副題が付されています。

 国立科学博物館の動物研究部研究主幹さんである
 著者・川田さん、
 先日は標本をテーマにしたTV番組にも
 出演しておられましたね。

「ふァいッ! みましたァでス!」
「ぐるるるがるる!」(←訳:標本の海でした!)

 標本製作のスペシャリストでもある川田さんは、
 また同時に
 《モグラ博士》を自認する
 モグラ研究の第一人者さんです。

 博士論文の内容は、
 世界中のモグラ類の染色体を調査して
 種間で比較する、
 というものであったほど、
 川田さんの関心は、
 モグラ、モグラ、モグラ……。

 そして、モグラへの関心は、
 学位を取得し、
 貧乏生活に耐えつつ
 研究を続けていた時代も
 色褪せはしなかったのですが。

「あるひのォ、ことッ!」
「がるるぐる~!」(←訳:驚きの発見~!)

 2004年、11月22日。

 川田さんは英国に旅行し、
 研究者として
 大英自然史博物館を
 訪問する機会を得ました。

 博物館の哺乳類担当研究者さんに案内され、
 スタッフ限定の扉をくぐって、
 収蔵庫へ。

 さっそくモグラなどの
 小型哺乳類標本が入ったキャビネットを開け、
 調査を始めてみれば。

「あれれッ??」
「ぐるる~…?」(←訳:これは~…?)

   同じだ!

   標本ラベルが
   森林総合研究所で見たものと同じ!
 
 ええ、
 それはちょうど一ヶ月前、
 川田さんが目にした
 日本のつくば市の、
 森林総合研究所の陸生哺乳類の標本、
 モグラの仮剥製標本に付いていたものと
 同じ書式のラベルが、
 そこにあったのです。

「なんでッなんでッ??」
「がるぐぅるるるる?」(←訳:偶然じゃないよね?)

 日本と英国に分散する
 同一の標本ラベル。

 ラベルは古く、
 『1839』という西暦年が
 記されていました。

 この不思議な出来事を解明しようと、
 諸々の文献を漁った川田さんは
 或る名前に行き着きます。

 アラン・オーストンさん。

 明治から大正の初期を
 横浜で過ごした英国人――
 彼こそが、
 モグラの標本を英国に送った人物だった?

「ふむむゥ~??」
「ぐるがるぐる!」(←訳:謎が謎を呼ぶ!)

 モグラの研究史を語りつつ、
 川田さんは
 日本の自然史研究の発展の裏側に
 どんな人びとの活躍があったのかを
 少しずつ、
 けれど着実に調査を進め、
 明らかにしてゆきます。

「すべてのォ、はじまりィはァ~」
「がるるぐる!」(←訳:モグラから!)

 御本の表紙画にも描き込まれている、
 掌に乗ってしまうくらいの、
 小さなサイズの哺乳類。

 モグラくんたちが見せてくれる
 夢のようなノンフィクション作品は、
 歴史好きな方々、
 標本大好きな方々におすすめです。
 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪
 
 
 
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