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テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 南国の風が吹く ~

2022-11-23 21:25:39 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 いざッ、ふァいッとォ~~ッ!」

「がるる!ぐるるるるる!」(←訳:虎です!こじ開けよう!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 アルゼンチンに逆転勝利したサウジアラビアの金星に、

 ええ、日本もあやかりたい!

 勝利を祈願しながらの祝日の読書タイムは、

 さあ、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

         ―― 秀吉を討て ――

 

 

 著者は松尾千歳(まつお・ちとし)さん、

 2022年8月に発行されました。

 『薩摩・明・家康の密約』

 と副題が付されています。

 

 前回記事では、

 大河ドラマ『鎌倉殿の13人』と連動したかのような

 ユーモラスな筆致の

 人物辞典的ノンフィクションを御紹介しましたが、

 こちらは、もっとシリアスな

 歴史ノンフィクション作品、ですね。

 テーマとなっているのは……

 

 《薩摩と徳川の密約》。

 

「ふたつのォ、せんそうッ!」

「ぐるるがる!」(←訳:混乱の中の!)

 

 歴史好きな方々は、

 島津勢の奇妙な撤退行動を

 よく御存知でしょう。

 

 《関ヶ原の合戦》最中、

 西軍の敗北は覆せないとみた島津家の軍勢が

 取った行動は、

 ”敵陣の中央を突破して戦場を離脱”

 という、

 まことに奇怪なものでした。

 

「むちゃくちゃァでスゥ!」

「がるぐる!」(←訳:損害甚大!)

 

 奇怪な出来事はまだ続きます。

 

 関ヶ原の戦いの後、

 島津家と徳川陣営の和平交渉は

 約2年間も決着がつかず、

 ようやく決まったと思ったら……

 所領安堵。

 

 西軍に属した他の武将たちは、

 死罪・遠島・改易・所領の大幅減など

 苛烈な判定を下されているというのに、

 なぜ、島津家に”お咎め”が無かったのか。

 

「うむゥ! なぞォでス!」

「ぐるるるがるる!」(←訳:ミステリだよね!)

 

 著者・松尾さんは、

 この撤退作戦の“裏”を読み解こうと試みます。

 

 《関ヶ原》から遡って、

 《文禄の役》《慶長の役》の折のこと。

 

 島津氏は、

 ひそかに敵国・明と接触し、

 太閤・秀吉を倒す策を進めており、

 これに徳川陣営も関与していた――

 

 つまり、島津・徳川間には、

 《関ヶ原》よりずっと以前から

 特殊なつながりがあった……?

 

「あわわッ!」

「がるるるっ??」(←訳:そうなのっ??)

 

 近年、東洋史の研究者さんの手で、

 朝鮮出兵に関する中国・朝鮮側の資料が見出され、

 活用されるようになってきた、

 と著者・松尾さんは御本の冒頭で記しています。

 

 大国・明と、

 薩摩の島津家、

 東国に封じられた徳川家。

 

 彼らの利害は(ほぼ)一致しています。

 戦争なんて、もううんざり。

 執拗に“唐入り”せよと煽る

 あの男さえいなければ。

 

 それぞれの勢力が目論む

 “豊臣排除”作戦――

 資料から浮かび上がる密談と折衝、

 その結果は。

 

「ふわァ~…すぺくたくるゥ!」

「ぐるるがるる!」(←訳:007みたい!)

 

 密約は、あったのか。

 

 著者・松尾さんの大胆な歴史論には

 とても感心させられましたが、

 それ以上に魅力的だったのは、

 朝鮮出兵よりも前の時代の、

 薩摩地方の描写です。

 

 ルソン、明など、

 海外と自由に交易していた薩摩の町や村の、

 のびやかな美しさ。

 野を、山を渡ってゆく南国の風……。

 

 ノンフィクション作品ではありますが、

 歴史小説好きさんにもおすすめですよ。

 薩摩の昔日を想いつつ、

 ぜひ、一読してみてくださいね~♪

 

 

 

コメント
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