「こんにちわッ、テディちゃでス!
いざッ、ふァいッとォ~~ッ!」
「がるる!ぐるるるるる!」(←訳:虎です!こじ開けよう!)
こんにちは、ネーさです。
アルゼンチンに逆転勝利したサウジアラビアの金星に、
ええ、日本もあやかりたい!
勝利を祈願しながらの祝日の読書タイムは、
さあ、こちらの御本を、どうぞ~♪
―― 秀吉を討て ――
著者は松尾千歳(まつお・ちとし)さん、
2022年8月に発行されました。
『薩摩・明・家康の密約』
と副題が付されています。
前回記事では、
大河ドラマ『鎌倉殿の13人』と連動したかのような
ユーモラスな筆致の
人物辞典的ノンフィクションを御紹介しましたが、
こちらは、もっとシリアスな
歴史ノンフィクション作品、ですね。
テーマとなっているのは……
《薩摩と徳川の密約》。
「ふたつのォ、せんそうッ!」
「ぐるるがる!」(←訳:混乱の中の!)
歴史好きな方々は、
島津勢の奇妙な撤退行動を
よく御存知でしょう。
《関ヶ原の合戦》最中、
西軍の敗北は覆せないとみた島津家の軍勢が
取った行動は、
”敵陣の中央を突破して戦場を離脱”
という、
まことに奇怪なものでした。
「むちゃくちゃァでスゥ!」
「がるぐる!」(←訳:損害甚大!)
奇怪な出来事はまだ続きます。
関ヶ原の戦いの後、
島津家と徳川陣営の和平交渉は
約2年間も決着がつかず、
ようやく決まったと思ったら……
所領安堵。
西軍に属した他の武将たちは、
死罪・遠島・改易・所領の大幅減など
苛烈な判定を下されているというのに、
なぜ、島津家に”お咎め”が無かったのか。
「うむゥ! なぞォでス!」
「ぐるるるがるる!」(←訳:ミステリだよね!)
著者・松尾さんは、
この撤退作戦の“裏”を読み解こうと試みます。
《関ヶ原》から遡って、
《文禄の役》《慶長の役》の折のこと。
島津氏は、
ひそかに敵国・明と接触し、
太閤・秀吉を倒す策を進めており、
これに徳川陣営も関与していた――
つまり、島津・徳川間には、
《関ヶ原》よりずっと以前から
特殊なつながりがあった……?
「あわわッ!」
「がるるるっ??」(←訳:そうなのっ??)
近年、東洋史の研究者さんの手で、
朝鮮出兵に関する中国・朝鮮側の資料が見出され、
活用されるようになってきた、
と著者・松尾さんは御本の冒頭で記しています。
大国・明と、
薩摩の島津家、
東国に封じられた徳川家。
彼らの利害は(ほぼ)一致しています。
戦争なんて、もううんざり。
執拗に“唐入り”せよと煽る
あの男さえいなければ。
それぞれの勢力が目論む
“豊臣排除”作戦――
資料から浮かび上がる密談と折衝、
その結果は。
「ふわァ~…すぺくたくるゥ!」
「ぐるるがるる!」(←訳:007みたい!)
密約は、あったのか。
著者・松尾さんの大胆な歴史論には
とても感心させられましたが、
それ以上に魅力的だったのは、
朝鮮出兵よりも前の時代の、
薩摩地方の描写です。
ルソン、明など、
海外と自由に交易していた薩摩の町や村の、
のびやかな美しさ。
野を、山を渡ってゆく南国の風……。
ノンフィクション作品ではありますが、
歴史小説好きさんにもおすすめですよ。
薩摩の昔日を想いつつ、
ぜひ、一読してみてくださいね~♪