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テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 読感ずしり!の傑作集 ~

2022-04-07 23:41:20 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 さみしいィでスよゥ~!」

「がるる!ぐぅっるがるる……」(←訳:虎です!ショックでした……)

 

 こんにちは、ネーさです。

 藤子不二雄Aさんが旅立たれました……

 『怪物くん』『忍者ハットリくん』『まんが道』……

 ご冥福をお祈りしながら、

 本日は巨匠さんたちの業績を偲ぶ読書タイムにいたしましょう。

 さあ、こちらのアンソロジー作品を、どうぞ~!

  

 

 

     ―― 世界推理短編傑作集 6 ――

 

 

 編者は戸川安宣(とがわ・やすのぶ)さん、

 2022年2月に発行されました。

 『GREAT SHORT STORIES OF DETECTION|vol.6』

 と英語題名が付されています。

 

 江戸川乱歩さんによって編纂された

 『世界推理短編傑作集 全5巻』は、

 2018年から1年がかりでリニューアルされました。

 

 数多の名作の中から、

 第1巻~第5巻には

 短編推理小説44作品が選出されていますが、

 第6巻には、

 1~5巻編集の際に不運にもこぼれ落ちてしまった

 13作品が収録されています。

 

「りきさくゥぞろいィ!」

「ぐるがる!」(←訳:逸品揃い!)

 

 ええ、目次をチラ見しただけで分かります。

 オルダス・ハックスリーさん、

 レイモンド・チャンドラーさん、

 ジョルジュ・シムノンさん、

 マイケル・イネスさん……

 と、巨匠さんの名が並んでいますよ。

 

 ハリイ・ケメルマンさん作

 『九マイルは遠すぎる』はミステリの金字塔とも言える

 傑作中の傑作ですし、

 ニコラス・カーターさんの

 『ディキンスン夫人の謎』は軽快なエンタ作。

 

 しかし、

 長編であるかのような深みと

 迫力を備えた作品というなら、

 

 パール・S・バッグさんの

 『身代金』でしょうか。

 

「うううッ、これはァ~…」

「がぅるるぅるるぐるがるるる!」(←訳:フィクションとは思えない!)

 

 『身代金』が発表されたのは1938年。

 迫真性の源は、おそらく、この“時代“にあります。

 

 米国の人びとが、

 そして世界中の人びとをも震え上がらせた

 リンドバーク家の事件が起きたのは

 『身代金』発表の6年前のことでした。

 

 どれほど気を付けていても、

 用心に用心を重ねても、

 ほんの一瞬の気の緩みが、

 《悪》にチャンスを与えてしまう――

 

 裕福な実業家ケント・クラザーズさんと

 妻のアリンさんは

 戦々恐々としています。

 ラジオのニュースが伝えるのは、

 連日のように発生する

 誘拐事件の悲惨な顛末。

 

 我が家も、我が子も、

 卑劣な犯罪の標的となってしまうのだろうか、と

 夫妻の心には不安な影が差すばかり。

 

 そうして、或る日、

 怖ろしい不安は現実のものに……?

 

「どうしようッ??」

「ぐるがるるぐるる?」(←訳:誰を頼ればいいの?)

 

 バッグさんが描き出す物語は、

 発表から80余年を経た現在でも

 まったく古びておらず、

 私たち読み手は引き込まれずにはいられません。

 

 ミステリ好きな方々に、

 文芸作品好きな方々にも

 おすすめしたいバッグさんの作品をはじめ、

 いずれも《傑作》の看板に違わぬ13作品を、

 ぜひ、一読してみてくださいね~!