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テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 遠く、ガニメデを探して ~

2021-09-01 22:02:59 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 はやくもォ、ころもがえッ?」
「がるる!ぐるがるる!」(←訳:虎です!長袖カモン!)

 こんにちは、ネーさです。
 一気に季節が加速した9月の始まりは、
 そうです、読書の秋の到来でもありますね。
 そこで、本日の読書タイムは、
 “実りの秋“を想わせる
 ↓こちらのクラシックSF作品を、さあ、どうぞ~♪

  


 
     ―― ガニメデの少年 ――



 著者はロバート・A・ハインラインさん、
 原著は1950年に、
 日本語版は1987年に発行されました。
 英語原題は『FARMER IN THE SKY』、
 巨匠ハインラインさんによる
 《開拓者の物語》です。

「ふむむッ! でてェこないィのでスかッ?」
「ぐるーるがーるる?」(←訳:パワードスーツは?)

 起動戦士たちが装着するパワードスーツ――
 名作『宇宙の戦士』中で描かれ
 ハインラインさんの代名詞にもなっている
 パワードスーツは、
 この作品には登場しません。

 その代わり、と申しましょうか、
 重要な意味合いを持っているのは……

 宇宙船メイフラワー号。

「きいたことォ、ありまスゥ!」
「がるるるぐるる!」(←訳:世界史の教科書!)

 合衆国建国の歴史に名を残す、
 大型帆船メイフラワー号。

 同じ名前を持つ船が、
 いままた出港しようとしています。

 ただし目的地は、
 “新世界“北米大陸ではなく、
 木星の第3衛星ガニメデ。

「まんいんッおんれいィ!」
「ぐるるがる!」(←訳:荷物も満載!)

 ギリギリまで人と荷物を積み込み、
 メイフラワー号が旅立つのは、
 植民のため、なんです。

 地球はもう、
 人口過密と食糧危機のため、
 どこにいても青息吐息……
 閉塞感に圧し潰され、
 人々の表情は晴れません。

「ごはんがァ、ないィ……!」
「がるるるる!」(←訳:つらいよう!)

 先行き暗い地球での生活に見切りをつけ、
 “新天地“に夢を託す一団の中に、
 ひとりの少年がいました。

 ビル(ウィリアム)・ラーマ―くんは、
 家族とともに
 ガニメデに入植しようとしているところ、
 ですが……。

「みたころもォ、ないィところッ!」
「ぐるるがる!」(←訳:しかも厳寒!)

 地球から遠く離れた、
 見たことも行ったこともない土地。
 帰りたくなったとしても
 到底すぐには帰れない、
 そんな土地。

 希望と、
 底なしの不安がせめぎ合う
 ガニメデでの生活は、
 ビル少年をどう変えてゆくのか――

「こんなんのォ、れんぞくゥ?」
「がるるぐる!」(←訳:苦悩も連続!)

 宇宙船にメイフラワー号と
 名をつけたことからも
 推察できるように、
 著者・ハインラインさんが描きたかったのは
 宇宙に於ける“建国者たち“の姿だったのでしょう。

 パワードスーツと異星人が激突する
 ド派手なアクション、
 未来の先端技術が世界を救う、
 といったシーンは出てきませんが、
 人類未踏の地と対峙する
 ビル少年の物語は
 独特の魅力を放っています。

 クラシカルなSF好きさんに、
 ハインラインさんのファンの方々に
 おすすめのこの御本、
 残念ながら現在は絶版となっていますので、
 古書店さんや図書館で
 探してみてくださいね。

「あきのォよぞらにィ、
 もくせいをォさがしつつゥ~」
「ぐるがるる♪」(←訳:ぜひ一読を♪)