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テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

たとえ小さな星でも。

2017-04-11 22:10:25 | ブックス
「こんにちわァ、テディちゃでッス!
 とべッ、げんきィだまァ!」
「がるる!ぐるるるがる!」(←訳:虎です!トリノへ届け!)

 こんにちは、ネーさです。
 さあ飛んでゆけ、元気玉よ、
 バルセロナを迎え打つユヴェントスのもとへ!
 CL準々決勝での必勝を祈願しながらの本日の読書タイムは、
 こちらの御本を、どうぞ~!
 
  



     ―― マリー・アントワネットの髪結い ――



 著者はウィル・バショアさん、原著は2013年に、
 日本語版は2017年2月に発行されました。英語原題は
 『Marie Antoinette's Head:
  The Royal Hairdresser,The Queen and the Revolution』、
 『素顔の王妃を見た男』と日本語副題が付されています。

 前回記事では、
 織田信長さんに仕えた異人の侍・弥助さんの評伝作品を御紹介しました。
 そして今回もまた歴史ノンフィクションジャンルから
 伝記作品の登場です♪

「かみゆいィさんッ?」
「ぐるるがる?」(←訳:美容師さん?)

 フランス王妃、というより、
 ここ日本では『ベルサイユのバラ』でお馴染みの、
 マリー・アントワネットさんは、
 現代風にいうなら
 “スタイリスト・スタッフ”を抱えていました。

 よく知られているのが、
 王妃さまの帽子&服飾デザイナーの
 ローズ・ベルタンさん。

 そしてもう一人のメイン・スタッフが、
 レオナール・オーティエさん(1746~1820)――
 王妃さまのヘアドレッサーさんです。

「きゅうでんがァ、しごとばしょォ?」
「がるるぐるう!」(←訳:華やかです!)

 華美極まるヴェルサイユ宮殿の女主人の
 すなわち一国のファーストレディのヘアデザインを
 一手に担う人物、と聞けば、
 きっと家柄保証付き・学歴優秀・性格も良し!な
 エリートさんなのだろうと思ってしまいます。
 
 服飾デザイナーもヘアドレッサーも、
 王妃さまのプライヴェートに接するお仕事ですからね。

 ところが、
 このレオナールさんときたら!

「えりーとさんじゃァ、なくてェ??」
「ぐるるがるる!」(←訳:本物の出世頭!)

 それはまさに、太閤・秀吉さんが
 一介の草履持ち係から
 織田家きっての武将にのし上がったかのように。

 レオナールさんも驚異の出世を遂げた人物でした。

 故郷を出てボルドーで髪結いの修業をし、
 ボルドーから首都・パリへ。
 このとき、お財布には僅かな現金のみ。
 確たるコネも、成功のアテもなく、
 おのれの才能をただただ信じて
 パリの美容界に殴り込み!

「なぐりこみィじゃないィでス!」
「がぅるるるぐる!」(←訳:チャレンジだね!)

 特筆すべきは、
 レオナールさんの才能が真物(ホンモノ)だった、
 という点でしょうか。

 パリに到着するや、
 レオナールさんは好機をつかみます。

 或る女優さんと知り合って髪を結ったら、
 その新奇な美しさが演劇界で大評判に……!

「ふゥ! どらまァよりもォ、どらまちッくゥ!」
「ぐるるがる!」(←訳:怒涛の展開!)

 田舎からパリに出てきた無名の髪結いさんが
 王妃さまのヘアドレッサーになる。

 そして、革命に巻き込まれるまで――

「またまたしてもッ?」
「がるる!」(←訳:大波乱!)

 異人の侍・弥助さんが本能寺の変に遭遇したのと同じく、
 ヴェルサイユに襲い来る革命という嵐。

 嵐の中で、レオナールさんの運命は?

「のんふぃくしょんッなのにィ~!」
「ぐぅるるぅるがる!」(←訳:フィクション以上!)

 ああタカラヅカの劇団関係者さんに
 この御本を読んでいただきたい!
 舞台化を真剣に検討していただきたいわ!
 と、私ネーさは空想してしまいました。

 野心に燃え、
 才能豊かな美青年(←事実美青年だったらしい!)。
 宮廷の名花たちと、王妃と、その恋人。
 革命の狼煙と業火。
 これで、もう――

「やくしゃはァ、そろいィましたでス!」
「がるるぐるる!」(←訳:あとは拍手を!)

 巨星――歴史の主役さんたちの輝きの強さに
 つい見落としてしまいがちだけれど、
 小さく、鋭く輝く星たちもいるのだと
 読み手に痛感させるこの御本、
 歴史好きな活字マニアさんに
 とびっきりのおすすめですよ。
 ぜひ、一読してみてくださいね♪