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テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

世界に、ひとつ。

2017-04-10 22:19:24 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 おおさかァ、いいなァ~♪」
「がるる!ぐるるる~!」(←訳:虎です!羨ましい~!)

 こんにちは、ネーさです。
 毎年恒例、大阪・造幣局の《桜の通り抜け》明日11日から!
 一般公開は17日までで、今週末が見頃になりそうだとか。
 有名なサクラ道をそぞろ歩いてみたいものですが、
 本日の読書タイムは、
 京都や堺など、関西を主な舞台とする
 こちらの御本を、どうぞ~♪

  



           ―― 信長と弥助 ――



 著者はロックリー・トーマスさん、原著は2016年に、
 日本語版は2017年2月に発行されました。
 英語原題は『Yasuke In search of African Samurai』、 
 『本能寺を生き延びた黒人侍』と日本語副題が付されています。

「むゥ? あふりかんッさむらいィ??」
「ぐるがるる、ぐる?」(←訳:小説ですか、これ?)

 戦国時代の日本の、
 事実上の覇者となった織田信長公の配下に、
 ひとりの黒人青年がいた――

 と言ったら、
 それはフィクションだろうと多くの方々は思い、
 また日本史の研究家さんや歴史マニアさんは、
 にやり、とすることでしょうか。

 そう、『黒人侍』さんは実在の人物でした。

 日本名を弥助(やすけ)と謂う、
 史上初の“アフリカ系サムライ”さん。

「ほほゥ! ほんものゥ!」
「がっるる!」(←訳:びっくり!)

 私ネーさも、以前に歴史の本で弥助さんの存在を知り、
 驚くと同時に、
 信長さんらしいなぁとも思いました。

 海外の事象に好奇心満々、
 家柄よりも実力主義、能力重視の信長さんならば、
 異国からやって来た黒人青年を側近にすることも
 軽々とやってのけるに違いない。
 
「でスねッ!」
「ぐるがる!」(←訳:有り得る!)

 ありそうにないことも、信長公なら。

 と、私たち日本人がすんなり納得してしまうところを
 英国出身の著者・ロックリーさんは
 見過ごさなかったのです。

 16世紀の日本。
 マルコ・ポーロが“黄金の国”と形容したジパングに
 黒人青年が渡った……だけではなく、
 その時代の覇者と出会い、
 側近に取り立てられ、
 またそれゆえ乱世の波に呑みこまれることになる――

 なんという運命の不思議。

「しょうせつゥよりもォ、どらまちッくゥでス!」
「がるるぐるる!」(←訳:お伽噺みたい!)

 弥助さんは、どこから来たのか。

 どの国で生まれ、
 どんな経路で日本に来たのか。
 誰とともに来たのか。
 どんな事情があって来たのか。
 日本人との、信長公との出逢いは
 幸福なものだったのだろうか。

 そして、本能寺の変ののち、
 弥助さんは……?

「どッ、どうなりィましたかッ??」
「ぐるるる?」(←訳:ご無事で?)

 弥助さんに関する資料は少なく、
 その中からロックリーさんは
 弥助さんの痕跡を追い、推測します。

 炎に包まれた本能寺から懸命に脱出し、
 信長公の長子・信忠さんのもとへ
 急を報せに走った青年の姿を。

「ほんのうじィ、もえちゃうゥ!」
「のぶながさまッ!」

 数百年の時に隔てられ、
 おぼろにかすむ、
 しかし、確かにそこに実在していた
 ひとつのいのち。

 著者・ロックリーさんの丁寧な、
 誠意あふれる追跡と追及のノンフィクション作品、
 歴史好きさんは必読ですよ♪
 ぜひ!