テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

100年経っても、光は褪せず。

2017-01-10 22:27:01 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ぷふゥ! きのうはァ、びッくりィでしたッ!」
「がるる!ぐるる~!」(←訳:虎です!金ピカ~!)

 こんにちは、ネーさです。
 成人式があった昨日のこと、
 私たちの目を射たのは……金糸銀糸の羽織袴のおにいさんたち!
 演歌歌手さん用ステージ衣装かしら?っていうくらい、
 極めつけに派手ハデだったわね。
 でも、本日の読書タイムは地味です。
 地味で、堅実で、正統派なミステリ作品を御紹介しますよ。
 さあ、こちらを、どうぞ~♪
 
  



           ―― オシリスの眼 ――



 著者はR・オースチン・フリーマンさん、原著は1911年に、
 画像の日本語版は2016年11月に発行されました。
 英語原題は『THE EYE OF OSIRIS』、
 実に原著発行から百余年を経て初めて完訳された“探偵小説”です。

「ひゃッくね~んッ!」
「ぐるる!」(←訳:長寿だ!)

 刊行から百年経てもなお、
 塵と化すでもなく、
 忘れられもしなかったのには
 理由があります。

 この御本で探偵役を務めている、
 ソーンダイクさんというキャラクターが
 21世紀の現代でも立派に通用する人物/人格に
 描かれている――
 これに尽きますね。

「むかしのォひとォ、なのにィ~」
「がるる!」(←訳:モダン!)

 前回記事では英国の児童小説の、
 『ピーター・パン』について触れました。

 ジェームズ・M・バリさん著
 『ケンジントン公園のピーター・パン』は1906年に、
 続編の『ピーター・パンとウェンディ』は1911年に
 出版されています。

 つまり、この『オシリスの眼』の世界は
 ピーター・パンの世界とカブっている訳なのですけれど、
 バリさんが人間の想像力に訴えて物語を紡いだのに対して、
 オースチンさんは理知――ロジックの力で
 《謎》という名の闇を切り裂いてゆきます。

「めいかいィなァ、ろんりィ!」
「ぐるるがる!」(←訳:証拠を重視!)

 余談になりますが、
 バリさんは推理小説が大好きで、
 あのコナン・ドイルさんとも親友だったのよ。
 必ずしもロジックを軽視したのではなかったんです。

 そして、
 ドイルさんの探偵であるシャーロック・ホームズさんと、
 フリーマンさんの探偵ソーンダイクさんは
 とてもよく似たタイプでした。

 ベースは法医学。
 証拠を科学的に分析。
 証人と証言。
 噂や伝聞を信じない。

「れいせいィでスゥ~!」
「がるぐる!」(←訳:公平だし!)

 物語の語り手、医師のバークリーさんは
 往診した患者さんの話に驚かされます。

 かつて新聞を騒がせた
 或る“失踪人”。

 煙のように忽然と消えて、
 いっこうに消息が知れないエジプト学者さん。

 患者さんはそのエジプト学者さんの弟であり、
 兄の失踪に苦しんでいることを
 バークリーさんに打ち明けます。

 兄はどこへ行ったのか、どうしているのか。
 生きているとはもはや思えず、
 かといって亡くなった証拠もない。
 しかし今、
 遺産を巡る係争が始まろうとしている……

「それはァ、ふくざつゥ!」
「ぐるぐるる!」(←訳:ゴタゴタだ!)

 バークリーさんは
 法医学者ソーンダイク博士を頼ります。

 医学校時代、
 法医学の講座を担当していたソーンダイク博士。
 彼ならこの難問も解いてくれるに違いない!

「ろじッく!」
「がるるる!」(←訳:理知の光!)

 百年前の作品ではありますが、
 訳者・渕上瘦平さんの素晴らしい訳文は
 読み手の私たちを馬車とドレスの時代へ
 軽々と連れて行ってくれます。

 理知が炙り出した《失踪》の全体像とは――?

 この長編作品がお気に召したら、
 短編集も刊行されていますので、
 どうか、そちらもぜひ一読を!
 
 
 
 
 
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なつかしの扉を。

2017-01-10 00:11:21 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 もふふッ! せいじんしきィ、おめでたやッ♪」
「がるる!ぐるがるるるる~!」(←訳:虎です!成人おめでとう~!)

 こんにちは、ネーさです。
 gooブログさんのトラブル?で遅くなっちゃいましたが、
 さあ、成人の日も元気に読書タ~イム!
 本日は、敢えてこちらの御本を、どうぞ~♪

  



       ―― 図説 英国ファンタジーの世界 ――



 著者は奥田実紀(おくだ・みき)さん、2016年11月に発行されました。
 はい、敢えて、です。
 日本でもよく読まれている海外の児童文学をテーマとする作品を、
 成人の日に御紹介いたしますよ。

「みんなァ、むかしはァこどもォでしたでス!」
「ぐっるがるるるぐる!」(←訳:きっと読んでたはず!)

 この御本で取り上げられているのは、
 メジャーなものから
 ちょっと通好みなものまで、
 主に英国を舞台とするファンタジー小説の傑作の数々です。

 物語の背景、
 作者さんの略歴、
 執筆の動機やきっかけ、
 お話の中で描かれていた場所は
 現在どうなっているか――

「ちゃんとォ、のこッてまスゥ!」
「がるるる!」(←訳:スゴイね!)

 御本の第一章を飾っているのは
 J・K・ローリングさん著《ハリー・ポッター》シリーズ。

 ちょうど今年、二十歳を迎えた方々は
 小学校の頃、
 夢中になって『ハリー・ポッターと賢者の石』を
 読んだのじゃないかしら。
 シリーズ第一作の『賢者の石』が
 英国で出版されたのは1997年のことでした。

 一方、およそ90年余を遡り、
 1906年に出版されたのは、
 第四章で取り上げられている
 『ケンジントン公園のピーター・パン』!

「あはァ! ぴーたーくんッ!」
「ぐるるがる!」(←訳:妖精の粉だ!)

 さらにぐんぐん時計の針を戻せば、
 1865年『不思議の国のアリス』が、
 1871年に『鏡の国のアリス』が刊行されています。
 
 第五章には著者ルイス・キャロルさんが暮らした
 オックスフォード大学と近郊の風景の写真が収録されていて、
 不思議な心地にさせられますね。

 19世紀半ばと現在と、
 ほとんど変わっていないような
 建物の形、川の流れ……。

「これからもォ、たぶんッ!」
「がるるるるる!」(←訳:変わりません!)

 私ネーさが特に感激したのは、
 第八章の『たのしい川べ』。

 ケネス・グレアムさんが著したこの御本、
 日本では《アリス》シリーズほど有名ではないんですけれど、
 1908年に刊行され、
 本国・英国はもちろん、
 ここ日本でも今なお着実に版を重ねている傑作です。

 著者・グレアムさんが作品を世に送り出した想い、
 物語を彩る英国の豊かな自然もしっかり取材されているこの章、
 かくれ《川べ》ファンの方々は必読ですよ♪

「ほかにもォ、いィ~ッぱいィ!」
「ぐぅるるるーるがる!」(←訳:ファンタジーの世界!)

 イーディス・ネスビットさん著『砂の妖精』、
 ルーシー・M・ボストンさん著《グリーン・ノウ》シリーズの世界へも
 著者・奥田さんは丁寧に案内してくださいます。

 なつかしくも輝かしい、
 ゆたかな物語の王国へ、
 成人さんも未成年さんも、
 皆さま揃って、ぜひ♪

 
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