テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

あの『ねこ』をめぐって。

2015-09-11 21:38:08 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 またァきょうもォ、ためいきィ~でスゥ~…」
「がるる!ぐるるるがるるるるる!」(←訳:虎です!八大竜王雨やめたまへ!)

 こんにちは、ネーさです。
 本日の読書タイムで御紹介いたしますのは、
 日本中の、何千何万、何百万もの人々の心を震わせ、
 悲しみの、喜びの、ときには希望の涙をさそった或る書物への
 トリビュート作品です。
 つらい日、苦しい日にこそ、
 さあ、こちらを、どうぞ~!

  



           ―― 100万分の1回のねこ ――



 著者は、収録順に(せーの!)、
 江國香織さん、岩瀬成子さん、くどうなおこさん、井上荒野さん、
 角田光代さん、町田康さん、今江祥智さん、唯野未歩子さん、山田詠美さん、
 綿矢りささん、川上弘美さん、広瀬弦さん、谷川俊太郎さん、
 2015年7月に発行されました。

「にゃんこォでス!」
「ぐるる!」(←訳:猫だね!)

 ええ、ネコ――
 それも日本で最も有名なネコちゃんであると
 断言してもいいかもしれませんね。

 御本の冒頭には次のような一文が掲げられています。

   ――絵本『100万回生きたねこ』と佐野洋子さんに愛をこめて

「やッぱりィ、あのにゃんこォ!」
「がるるるるぐるるる!」(←訳:100万回生きた彼!)

 不朽の名作、佐野洋子さん著『100万回生きたねこ』(1977年刊)。

 この御本は、人気の作家さん13人による
 13の作品が収録されています。

 100万回生きたという、
 あの『ねこ』の《生》のうちには、
 こんな物語もあるだろうか、
 こんな生き方もあったろうか、と
 作家さんたちが空想し、想像する、
 いわば、あの『ねこ』版アラビアンナイトでしょうか。

「かくひとォしだいィでェ~」
「ぐるがるるるる!」(←訳:猫も変わります!)

 とっぷばったーの江國香織さんが描くのは、
 『生きる気まんまんだった女の子の話』。

 『百万回生きたねこ』のストーリーをよく知る女の子は、
 “誰かをコッコロから好きになっちゃったりしたら身の破滅”であると
 肝に銘じて毎日を過ごしています。

 誰も好きじゃない、
 誰にも恋しない。

 だってあたし、生きる気まんまんなんですもの♪

「ふァ~…」
「がる~…」

 生きる気に満ち満ちた彼女は、
 はたして、どのような生涯をおくることになるのか……

「めまいィしそうにィ~」
「ぐるる!」(←訳:濃ゆい!)

 どの作家さんも、浅からぬ想いをあの『ねこ』に抱いています。
 詩、ファンタジー、お伽噺、回想、SF、と
 それぞれの100万回の1回は
 『ねこ』そのもののような多面性を見せますが。

 谷川俊太郎さんの作品『虎白カップル譚』は、
 あっさりと、あっけらかんと、
 それでいて他の何者をも寄せつけない筆力で
 『ねこ』の本質を語ります。

 佐野さんにとって、
 谷川さんにとっての、『ねこ』。

「ねことはァ、そもそもォ~」
「がるるるぐるるる!」(←訳:不思議な生きもの!)

 13の作品には、本文とは別に
 佐野さんを偲び、
 各作家さんが短かい文章を書き添えています。

 谷川さんが佐野さん(と『ねこ』)に向けて記した、
 たった3行の文は――

「これはァ、だめでスゥ!」
「ぐるるがるるるぅがる!」(←訳:ここでばらしちゃダメ!)

 『ねこ』とは、何か。
 誰であったのか。

 『100万回生きたねこ』を愛する皆さま、
 どうか、谷川さんのその文章は、
 御自身の目で。

 
 
コメント
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