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テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

較べれば、深まる?

2015-09-03 21:52:24 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 きょうはァ、どらちゃんのォおたんじょうびィ♪」
「がるる!ぐっるーがーるるー!」(←訳:虎です!ハッピーバースデー!)

 こんにちは、ネーさです。
 今日9月3日は、ドラえもんくんの誕生(予定)日!
 2112年のその日を前倒しでお祝いしながら、
 さあ、本日の読書タイムは、こちらを、どうぞ~♪

  



           ―― 名画の謎 対決篇 ――



 著者は中野京子(なかの・きょうこ)さん、2015年7月に発行されました。
 『ギリシャ神話篇』『旧約・新約聖書篇』『陰謀の歴史篇』に続く
 《名画の謎》シリーズ最新作です。

「こんかいィはァ、たいけつゥ!するのでスゥ!」
「ぐるる!」(←訳:決闘だ!)

 いや、あのね、プロレスじゃないんですから、
 グーパンチで殴り合うわけじゃありません。

 ただ……飛んでいなくもないかしらね、
 丁々発止と、火花が。

「らいばるゥ!」
「がるる!」(←訳:好敵手!)

 著者・中野さんがリングアナと化し、おっと失礼、
 公正な選択眼で取り上げるのは、
 例えば、御本表紙のように、
 “好対照”なふたり――

 オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ妃エリザベートさんと
 フランス皇帝ナポレオンⅢ妃ウージェニーさん。

 御二方は、出自こそ違えど、
 同時代人であり、
 皇妃という階級(というか立ち位置)であり、
 ともにその美貌で名高く、
 その上、ヴィンターハルターさんという
 当時最高の肖像画家さんによって
 永遠の麗姿を後代に伝えられることになったのも
 共通していますが……

「どちらがァ、びじんッ?」
「ぐるるるがる?」(←訳:どちらが幸せ?)

 セレブ度と、好感度に関しては、
 おそらく多くの人がエリザベート皇妃に軍配を上げるでしょう。

 けれども、どちらのお妃さまが幸福であったか、
 その判断は――

「うむむむッ?」
「がるぅ!」(←訳:難しぃ!)

 比較に値する美しい男性ふたり、も
 中野さんは名画の海から釣り上げます。

 リゴーさん描く『ルイ十五世の肖像』と
 レーニさん画『聖セバスティアヌスの殉教』。

 王と聖人、ふたりの美男に注がれる視線の複雑さが
 読み手の嘆息を誘います。

「れきしッてェ~」
「ぐるっ!」(←訳:重いっ!)

 人間(ひと)に限らず、
 場所もまたライバルになるのだと
 中野さんが指摘するのは、

 ルノワールさん画『ムーラン・ド・ラ・ギャレット』と
 ピカソさん画『ムーラン・ド・ラ・ギャレット』です。

 ルノワールさんが描いて24年ののち、
 同じ場所をピカソさんが描いたら、どうなるのか、
 どんな違いが生じるのか――

 これはもう、皆さま、
 御自身の眼で、じっくり眺めて&読んでくださいね!

「らいばるたちのォ、こころのうちをォ~」
「がるぐる?」(←訳:誰ぞ知る?)

 対決、というよりも、
 対照の妙を、
 わかりやすく解説してくれる著者・中野さん。
 早くも次の《名画の謎》が楽しみです♪

 なお、『名画の謎 ギリシャ神話篇』が
 先ごろ文庫化されました。(↓こちらです!)

  

「おおッ! ぶんこサイズゥはァ~」
「ぐるるがるる!」(←訳:程よい小ささ!)

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