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テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

秋に春を想えば。

2013-10-18 21:51:23 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでスゥ!
 あれれッ? もうゥ~ふゆッ??」
「がるる!ぐぅっるるぅ!」(←訳:虎です!ちょっと寒ぅ!)

 こんにちは、ネーさです。
 朝晩の冷え込みに、
 穏やかな秋はどこへ行っちゃったんだ~!とお嘆きの皆さま、
 本日の読書タイムは、こちらを、どうぞ~!

  



 
              ―― 桜ほうさら ――



 著者は宮部みゆきさん、2013年3月に発行されました。
 現在、書店さんの平台には
 発売されたばかりの宮部さん著の文庫版『小暮写真館』上下巻がずら~り!

「ひょうしィはァ、なのはなッ!」
「ぐるるるがるる!」(←訳:きれいな色だよ!)

 美しさでは、この御本の表紙といい勝負ですね♪
 『小暮写真館』では空の色に映える菜の花の黄色、
 そしてこちらは、
 天も地も甘く染めつくす桜の色……

 いえ、しかし、
 桜というのは甘いだけのお花じゃないってことは
 皆さま、よく御存知でしょう。
 
 この物語もまた、ところどころに切なく、
 ほろ苦い何かが見え隠れしているようです――

「あッ、ろうにんさんだッ!」
「がっるるるぅ~…」(←訳:細っこいなぁ~)

 痩せて細身なのは
 浪人さんには珍しくありませんね。
 っていうか、太っちょの浪人さんの方が珍しいでしょ。

 この御本の主人公、
 古橋笙之介(ふるはし・しょうのすけ)さんは、
 写本作りのお仕事を請け負って
 どうにか生計を立てている浪人さんなんです。

 写本作り、なんて
 あまり儲かりそうもないお仕事で、
 笙之介さん、毎日まいにち苦労してるんだろうなぁ、
 若いんだからお腹が空くだろうなぁ、と
 同情してしまいますけれど……

「うゥ~んッ? でもォ、ほんにんはァ~」
「ぐるがるるるぐるる?」(←訳:気にしてないみたい?)

 笙之介さんの身辺に、
 食い詰めた、というような暗い気配がないのは何故でしょう。
 
 浪人になってまだ日が浅いらしい、から?
 江戸の長屋暮らしの厳しさを
 本当には分かっていないから?

 ……いえ、そうではないようです。

 わびしい生活の底に、
 笙之介さんは、或る意志――目的を持っているのでした。

 その目的を遂げるためならば、
 浪々の身の苦難など
 さしたることでもない、のでしょうか……?

「わけありィ、でスかッ?」
「がるるるぅ~!」(←訳:心配だなぁ~!)

 お武家さんなのに剣術は苦手、
 押しも弱くて、
 頼りなくて、
 でも、知らんぷりもできなくて、
 見守りたくなる浪人――笙之介さん。

 彼が胸中に秘める計画は、
 巧くゆくのか、それとも……?

「ようじんしなくちゃッ!」
「ぐるがるる!」(←訳:壁に耳あり!)

 緩急自在、
 江戸の町のスリルとサスペンスを
 みごとなエンタ魂で描き切るこの御本に痺れた活字マニアさんは
 著者・宮部さんが現在『朝日新聞』朝刊に連載している小説も
 ぜひぜひ読んでくださいね~!