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テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

水上のブルーバード。

2011-04-19 22:49:37 | ブックス
 こんにちは、ネーさです。
 今年のスギ花粉は長引くなぁ~と思っていたら……
 風邪を引いちゃってました。

「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ネーさ! もうゥ、すぎかふんはァ、おわッてるでス!」
「ぐるるー!がるぐるがるーる!」(←訳:虎ですー!今はヒノキ花粉だよ!)

 そうなのよね~、現在ピークなのはヒノキ系の花粉らしいわ。
 ヒノキに弱い御方は気を付けて下さいね。
 また、今春の風邪はノドから来るようですので、
 ノド弱な方々は対策を厳重に~!

 では、ノドをいたわりながら、
 本日の読書タイムは、こちらを、どうぞ~!

  


 
             ―― 空き家課まぼろし譚 ――


 著者は ほしおさなえ さん、2011年1月に発行されました。
 くまおり純さんによる表紙の美しい画からは、
 ファンタジー作品なのかしら?と思い、
 いやでも、講談社ノベルズってミステリでしょ?と
 活字マニアさんは戸惑うことでしょう。

「ふむふむッ!
 それでェ、どッちィ??」
「ぐるるるる?がるるるる?」(←訳:ファンタジーなの?ミステリなの?)

 舞台に限っていうならば、
 とてもファンタジック……と申しておきましょうか。

 そこは、
 日本海に面して築き上げられた
 あのヴェネツィアのように美しい水上の都市――
 『海市(かいし)』。

 街中に運河がめぐらされ、
 日本のベニスと呼ばれる海市は、
 かつては寂れた時期もありましたが、
 観光を中心をした再生に成功し、
 以来、水の都は大きく生まれ変わりつつあります。

 運河を改めて清掃整備、
 水路を運行する水上バスで街のあちこちをつなぎ、
 美術館を作ったり、
 ホテルを誘致したり……

 でも、古いものも大切にしたい、と
 海市の人たちは考えているんです。

「ふァ~いッ♪
 それはァいいことでスゥ~♪」
「ぐるがるるるぐる~♪」(←訳:レトロっていいよね~♪)

 主人公の間宮明(まみや・あきら)くんのお仕事は
 その考えを実践する現場。

 味のある古い建物は、
 外見はステキだけれど実際には現住者がいないことも多いんです。
 空き家にしておくなんて、もったいない!
 街の振興のために、
 建築保存のために、
 いえ、空き家となってしまった家自身のためにも、
 新たな、
 家と相思相愛になれるような借り手さんを探す――
 それが、間宮さんの仕事であり、
 心底からの願いです。

 まあ、その、お若いだけに、
 ちょこっと頼りない『空き家課』職員さんなのですが。

「りらッくすゥ~、でスよッ!」
「がるぐるるるる~!」(←訳:肩の力を抜いて~!)

 間宮さんには、或るウィークポイントがありました。
 弱点というか、アキレス腱というか、
 ええ、その、ブッちゃけちゃいますとね、

 古い写真マニア、なんです。

「ふるいィ~しゃしんッ??」
「がるぐるる?」(←訳:アナログな?)

 デジタルではない、
 古めかしい写真が間宮さんの弱点です。
 このまま空き家に放置しておいたら捨てられてしまう!
 そんなホコリだらけ、蜘蛛の巣だらけの
 古写真やアルバムを見捨てられなくて、
 こっそり集めていたのですが、
 或る日、それがバレてしまいました。
 知られたくないなあ、と思っていた人物に……。

 古い写真。
 家族が写った思い出の写真。
 こう記せば、震災関連の報道を連想する御方もおられるでしょう。
 水に晒され、
 痛ましく泥にまみれたアルバムも……。
 正直に申し上げますと、
 この御本をご紹介すべきか否か、長く迷いました。

 けれど、まずは読んでみて下さい!
 間宮くんが見つけるもの、
 空き家に、運河に、日本のベニスと讃えられる街に、
 彼が見つけてゆく、
 大切なもの、とは――

「あおいとりィはァ、きッとォ!」
「ぐるがるるー!」(←訳:すぐそこにー!)