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テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

古ぼけた壜の中には。

2010-08-26 23:22:26 | ブックス
「ひゃァッ! たいへんッ!たいへんでスよゥ、ネーさッ!」
「がるるるー!」(←訳:緊急事態かもー!)

 はあ? どうしたんです、テディちゃに虎くん?
 緊急事態ですって??

「なッ、なつやすみィがァッ!」
「がるがるぐるる!」(←訳:もう一週間も残ってないよ!)

 んまあっ! それは大変!
 では本日は、夏休みの読書感想文には全く役に立ちそうもない
 摩訶不思議な物語を御紹介いたしましょうか。

「ぶゥー! いじわるゥ!」
「がるがるる!」(←訳:ひねくれ者!)

 おほほほっ、何とでもお言いなさ~い♪
 いざ! ひねくれ読書タ~イム!というわけで、
 こちらを、どうぞ~!


 
                  ―― 壜の中の手記 ――



 著者はジェラルド・カーシュさん、
 画像の日本語文庫版は2006年に発行されました。
 英原題は『THE OXOXOCO BOTTLE and Other Stories』……はい?
 OXOXOCOって、ミスプリントじゃないか、ですって?
 いいえ、ちゃあんと読み方があるんですよ。
 『オショコショ』とお読み下さいな。

「おしょこしょッ?? はやくちィことばァ、でスかッ?」
「がるがるー!」(←訳:暗号かもー!)

 オショコショとは、地名なんです。
 メキシコの、とある火山の麓の、小さな村。
 絵のように美しい村の名がつけられた壜は、
 語り手の『私』が、
 メキシコ旅行の折に買い入れた物でした。

 長らく忘れていた土産の壜は、
 数年の後、ようやく思い出されたのですが……
 あらら、
 友人にお披露目すると同時に、割れてしまいました!

「えッ! ざんねんッ!」
「がるぐるがる!」(←訳:もったいない!)

 しかし……
 壜の中から出てきたのは、
 文字が書かれた薄い紙片。
 『私』と友人は、
 文書と壜を大英博物館へ持ち込みます。
 いったい、紙片には何が記されていたのでしょう……?

「どきどきィでスねッ!」
「ぐるぐるがるる?」(←訳:世紀の大発見とか?)

 エドガー賞を受賞した表題作『壜の中の手記』、
 悲しくも怖ろしい『豚の島の女王』、
 レイ・ブラッドベリさんの名作を彷彿とさせる『ブライトンの怪物』他、
 摩訶不思議にして奇っ怪、
 妖艶にして寂寥とした、
 一筋縄ではゆかない物語たちで編み上げられた一冊です。

 著者カーシュさん(1911~1968)は、
 こちらも一筋縄ではくくれない不思議な御仁。
 パン屋さん、ナイトクラブの用心棒、レスラー、
 映画館の支配人や銀行の事務員、
 ボディガードにセールスマン、バーテンダー……と、
 職を転々とした末に、
 念願の作家さんとなりました。
 
「うむゥ!
 ものがたりィとォ、おなじくらいィ、へんてこッ!」
「がるーるがるる!」(←訳:良い意味でへんてこ!)

 キッズには理解できそうもない?カーシュさんの不思議奇想譚、
 オトナな活字マニアさんに、ぜひ!
 きっと、記憶に残る御本になることでしょう!

「みなさまッ、おみやげのォ、びんはァ」
「がるる!」(←訳:大切にね!)