NHKの木曜時代劇「ちかえもん」は
青木崇高、優香、小池徹平、早見あかり、山崎銀之丞、北村有起哉、高岡早紀、岸部一徳、富司純子、松尾スズキなど超豪華キャストを得て、近松門左衛門の世界を垣間見ながら、不思議な物語展開をしていきます。
おそらく「曽根崎心中」の”道行”あたりがクライマックスではないかと思うのですが、相当強めの脚色が入っていて、「曽根崎心中」からはかなり離れた進行をしていきます。
「曽根崎心中」は大坂の曽根崎で実際に起こった心中事件をもとに作られた近松門左衛門の代表作。
1703年(これは赤穂事件=吉良邸討ち入りの翌年です。)、大坂の竹本座で初演され興行は大成功したそうです。
歌舞伎の世話狂言の形式を借りて作られた最初の世話浄瑠璃だそうです。
そこで、近松門左衛門の傑作と言われるこの物語を読んでみようとネット上で探したところ、原作をそのまま活字にしたものが拾えました。
それを”メモ帳”にコピペして読み始めたら、枕の部分はいきなり訳の分からない長めの文章で始まりました。
訳が分からないなりに読んでいきますと、これが実に調子の良い七五調でした。
その部分を二度読みして、まだ理解できないので、現代語解釈をネット上でやっと探し出しました。
この部分は大坂三十三か所寺社巡りの案内だったようです。
それが何故に必要だったのかは今でもよく判っていません。
その後の文章についても原文を活字にしただけのものですから、実に読みづらくて、全文を読み終わるまでに三時間以上はかかったような気がします。
ここで筋を話したらネタバレになりますのでそんな野暮なことは致しませんが、
一つだけ古今の名文とされる死の”道行”のところを、書かれた文章のままにご紹介いたします。
七五調のこの部分はできれば声に出して読んでいただけたらと思います。
この世のなごり 夜もなごり 死にに行く身をたとふれば、
あだしが原の道の霜 一足づつに消えて行く 夢の夢こそあはれなれ
あれ数ふれば暁の 七つの時が六つ鳴りて 残る一つが今生(こんじょう)の
鐘の響きの聞き納め 寂滅爲樂(じゃくめつ いらく)と響くなり」
「鐘ばかりかは 草も木も 空もなごりと見上ぐれば 雲心なき水の音
北斗は冴えて影映る 星の妹背(いもせ)の天の川
梅田の橋を鵲(かささぎ)の橋と契りて いつまでも 我とそなたは婦夫星( めおとぼし)
かならず添うと縋(すが)り寄り 二人がなかに降る涙 川の水嵩(みかさ) も増(まさ)るべし
※(暁の七つというのは午前4時頃で、鐘を七つ鳴らしたのですね。それを六つまで聞いて、残る一つがこの世の聞き納めの鐘で、寂滅が真の楽しみである「死んで、あの世で幸せを得よう」という世界になります。)
赤穂浪士の”義挙”に対して辛口の見解を示した儒学者の荻生徂徠は、上の文章を読んで「七つの時が六つ鳴りて~」のくだりまで来た時、「妙処此中にあり、外(ほか)は是にて推(おし)はかるべし(なんともいえぬ名文だ。ほかのことは問うには及ぶまい)」 と絶賛したと聞きました。
近松の原作と、NHKの「ちかえもん」とでは随分違いが出てきていますが、その違いを比べるのも楽しみの一つですね。
おや!?今日は記事を飾る写真がないままでした。
近いうちに山に入りたいと思ってはいますが・・・・・
青木崇高、優香、小池徹平、早見あかり、山崎銀之丞、北村有起哉、高岡早紀、岸部一徳、富司純子、松尾スズキなど超豪華キャストを得て、近松門左衛門の世界を垣間見ながら、不思議な物語展開をしていきます。
おそらく「曽根崎心中」の”道行”あたりがクライマックスではないかと思うのですが、相当強めの脚色が入っていて、「曽根崎心中」からはかなり離れた進行をしていきます。
「曽根崎心中」は大坂の曽根崎で実際に起こった心中事件をもとに作られた近松門左衛門の代表作。
1703年(これは赤穂事件=吉良邸討ち入りの翌年です。)、大坂の竹本座で初演され興行は大成功したそうです。
歌舞伎の世話狂言の形式を借りて作られた最初の世話浄瑠璃だそうです。
そこで、近松門左衛門の傑作と言われるこの物語を読んでみようとネット上で探したところ、原作をそのまま活字にしたものが拾えました。
それを”メモ帳”にコピペして読み始めたら、枕の部分はいきなり訳の分からない長めの文章で始まりました。
訳が分からないなりに読んでいきますと、これが実に調子の良い七五調でした。
その部分を二度読みして、まだ理解できないので、現代語解釈をネット上でやっと探し出しました。
この部分は大坂三十三か所寺社巡りの案内だったようです。
それが何故に必要だったのかは今でもよく判っていません。
その後の文章についても原文を活字にしただけのものですから、実に読みづらくて、全文を読み終わるまでに三時間以上はかかったような気がします。
ここで筋を話したらネタバレになりますのでそんな野暮なことは致しませんが、
一つだけ古今の名文とされる死の”道行”のところを、書かれた文章のままにご紹介いたします。
七五調のこの部分はできれば声に出して読んでいただけたらと思います。
この世のなごり 夜もなごり 死にに行く身をたとふれば、
あだしが原の道の霜 一足づつに消えて行く 夢の夢こそあはれなれ
あれ数ふれば暁の 七つの時が六つ鳴りて 残る一つが今生(こんじょう)の
鐘の響きの聞き納め 寂滅爲樂(じゃくめつ いらく)と響くなり」
「鐘ばかりかは 草も木も 空もなごりと見上ぐれば 雲心なき水の音
北斗は冴えて影映る 星の妹背(いもせ)の天の川
梅田の橋を鵲(かささぎ)の橋と契りて いつまでも 我とそなたは婦夫星( めおとぼし)
かならず添うと縋(すが)り寄り 二人がなかに降る涙 川の水嵩(みかさ) も増(まさ)るべし
※(暁の七つというのは午前4時頃で、鐘を七つ鳴らしたのですね。それを六つまで聞いて、残る一つがこの世の聞き納めの鐘で、寂滅が真の楽しみである「死んで、あの世で幸せを得よう」という世界になります。)
赤穂浪士の”義挙”に対して辛口の見解を示した儒学者の荻生徂徠は、上の文章を読んで「七つの時が六つ鳴りて~」のくだりまで来た時、「妙処此中にあり、外(ほか)は是にて推(おし)はかるべし(なんともいえぬ名文だ。ほかのことは問うには及ぶまい)」 と絶賛したと聞きました。
近松の原作と、NHKの「ちかえもん」とでは随分違いが出てきていますが、その違いを比べるのも楽しみの一つですね。
おや!?今日は記事を飾る写真がないままでした。
近いうちに山に入りたいと思ってはいますが・・・・・