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冬のシナモンとヴァニラのティ




シナモンとミルクをたっぷり入れたシナモンティ(チャイ)は娘の好み。

わたしも彼女の年齢の頃、神戸三宮の紅茶専門店「ムジカ」でしばしば楽しんだ、思い出の味だ。
もうとっくにあの浮世離れした店はなく、今は店の枠組みだけを残してエスニック料理店になっているそう...

このスタウブのポットは、まさにチャイを作るためにずっと欲しいなと思っていたもの。
ロンドンのロブションで紅茶をサーヴするのに使われているのを見かけてから、ずーっと買い物リストに入っていたものの、優先順位は高くなく、2020年末にやっと買った。「感染拡大を防ぐために家にずっといるのだから買うなら今買うべき」かなと。


また、クリスマス時期に欠かせないグリューワイン(スパイスや柑橘類の皮を入れたホットワイン)を作るにはぴったりだった。

わたしが鉢植えが好きなので庭にたくさん鉢がある。冬のはじめに嵐が吹き荒れた時、動かせる分だけ風除けのあるテラスに移動させた。
結果、居心地のいい冬の小さなテラスができ、3メートルくらいあるユーカリの鉢植えなどの陰に一つ、カフェテーブルを置いた。たまにコートを着込んで熱い飲み物を用意して気分を盛り上げている。


他には松茸の土瓶蒸しなんかにも向いていると思うが、まあこっちで松茸を食べられることはないだろう...




シナモン・ティのスパイスはシナモンとヴァニラが基本だが、Dille&Kamilleで買った「スペキュロース」(スパイスの聞いた硬めのビスケット。ロータス社のものが日本で売られているとか)用スパイスを使っている。

シナモン、ナツメグ、クローヴ、唐辛子、生姜、コリアンダー、メース(ナツメグの仮種皮)、カルダモン。

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午前2時のスフレ・チーズケーキ




目下、新型コロナウイルスロックダウン中の英国、イングランド。

「なぜ状況がこれほど悪化しているのか」「去年3月の1回目のロックダウンで何も学ばなかったのか」あちこちで?が飛び交っている。

今日は「自分が感染者であるかのように行動せよ」というスローガンが新しく発表された。
また、女王が特別ルール適用なしに、つまり年齢順に順番が回ってきたことによってワクチンを摂取されたそう。


わたしにできることは少ないので、粛々と隔離生活を続けるしかなく、相変わらず、読書、ピアノの練習、お菓子をレシピの分量をアレンジして実験的に焼いてみる、ネットで買い物をするなどして無聊を慰める日々だ。

ネットで大陸ヨーロッパから買い物をする場合(<わたしは比較的よく買い物する)、ブレグジットのせいで新しい問題が発生している。
ブレグジットに際して、新しい輸出ルールの準備を整えていた例えば規模の大きい会社以外は、新規ペーパーワークや、英国の新処置(英国にVTA(付加価値勢。簡単に消費税)を納めるための新しい口座を英国に開設するべし)などの問題に対応しきれず、当面は英国への輸出を控えるようになった会社が少なからずある。

クリスマス前にドイツのマイセンに食器を注文したところ、一回めは年末のブレグジットの混乱で、二回目は「輸出書類不備」で荷物が二回も出荷元に戻ってきているのだとか。今、マイセン事務所は三回目の手続きトライをしている最中で、昨夜はついに書類が揃いました! と連絡が来た。

わが家の場合はベルギーに住所があるので、その住所に送ってもらうことができるにしても、それを引き取りにベルギーまで行くのはいつになるの...という感じだ。

今後は小規模な会社や、個人の輸出入の手続きを負うようなプラットフォームができるかもしれない。


昨夜はあっさりしたスフレチーズケーキが食べたくなり、翌日のおやつにするべく、夜中の2時から焼き始めた(その時間まで読書がやめられなかったのです)。

分量を調節し、焼き方を変えてみたら今までで一番よくできた(手前味噌はわたしの別名)!
オーブン出したての時は高さ21センチ、冷めて落ち着いて10.7センチ、表面が割れなかったのがうれしい!

最近ではお菓子は味わうよりも、実験の方に夢中になっているかもしれない...
このケーキもまだ食べていない。
よく冷えて落ち着いているだろうし、これからおやつの時間。





今週の英国は3日連続で感染者が6万人を超えた。
だいたい50人に一人が感染している計算だそうである。

死者は過去28日に感染が確認された人だけで、一日千人を超える日々。
このままだと今月末までに合計で10万人以上の人が亡くなる計算だそうだ。

入院中の人は3万人以上。これは春のピークを超えた。
このままだと、1月19日までに5千以上のベッドが不足するとか。

ここまで状況が悪化した理由としては、年末に発見された変異株(5割は感染しやすい)と、やはりクリスマス時期に他世帯と混合した人が増えたこと、あるいはティア4のレベルでも学校が継続されていたこと、すでに感染して回復した人は「もう免疫があるから」と楽観しがちである、など、決して一つの理由ではなく、複数のファクターが挙げられるらしい。




ケーキは生きものだという人もいる。
「幸福」そのものだという人もいる。

そんなことは考えたことはなかったが、隔離生活中のわたしにも、精神衛生上効果があるのだろう...

手を使って何かを作る、何かの世話をするというのは精神上いいのだろうな。

先日は、この状況でクリスマス休暇中にもお国に帰国できず、大学街に留まっている娘のお友達にカップケーキとマドレーヌをそれぞれ二ダース送ってさしあげた。彼女らのためというよりは、自分自身のためだった。

そういえば数日前にBBCニュースで専門家が「精神的に参っているのなら、ニュースを見ないようにしましょう。体を動かしましょう。そして(自分に集中せず)他の人の世話や役に立つことをしましょう」と言っていた。
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松毬と百合の花




カトリック圏では1月6日をもってクリスマスの飾り付けをかたづける...と昨日書いたように、わが家でも華やかだったツリーやリースを取り外した。

急に寂しい感じになってしまったので、お正月のカサブランカがまだ美しく咲いている、このコーナだけ残しておくことに。百合が枯れるまで。

ロイヤル・コペンハーゲンの松毬を香合に見たてたものと一緒に。
ありもので、なんでも「・・風」。昨日は七草粥ならぬ、バジルの粥を食べたし...




今年は新型コロナ禍で供給が不安定だったのか、お正月の仏手柑も、松も手に入らなかった。

普段は仏手柑はフォートナム・メイソンかハロッズで、松はクリスマスの花材を売る店に使えそうなものがあるのだが。

仏手柑は鉢植えを買って育ててみようかしら。
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公現祭 ガレット・デ・ロワ 2021



ダイニングルームの照明が暗い...


時計の針が回って昨日6日の話になってしまった。


「王様たちのケーキ」、ガレット・デ・ロワ (仏GaletteDesRois、蘭Koningentaart)を食べ、クリスマスの飾りを片付ける。

それがカトリック圏の、1月6日の行事である。


「王様たちのケーキ」の王様たちとは、イエス・キリストがベツレヘムで誕生した際に訪問してきた「東方の三博士」のこと、公現祭は彼らが訪問してきた日を記念して、となっているが、起源は別のところにある(後で述べる)。

「王様のケーキ」はパイ菓子で、アーモンドクリームのフィリング、その中にはフェーヴ(fève、ソラマメ)と呼ばれる陶製の小さいフィギュアがひとつ隠されてている。
上には紙でできた王冠を飾る。こちら、紙製でなければならない理由があるのです...

切り分けて食べる際、フェーヴが当たった人はその紙の王冠を被り、みなから祝福を受け、一日中好き放題ができる。また一年中幸福に恵まれるという。


王様たちのケーキ、毎年、夫がロンドンのラデュレから大切に持ち帰るのに(別にラデュレでなければとこだわっているわけではなく、カトリックのお祭りなので英国ではフランス菓子店でしか取り扱いがないのです)、昨今は夫がオフィスに行かないどころか、ラデュレも完全ロックダウン下の休業中。だから焼いたの。初めて。

手前味噌はわたしの別名であり、プロの出来には遠く遠く及ばないが、おいしく焼けたできたのはひとえに在ベルギーの日本人パティシエ、Les sens cielさんのおかげである。
参考にさせていただいたガレット・デ・ロワのレシピはYouTubeチャンネルのこちら

ベルギーにお住まいであるところにモエは前々から勝手に親近感を抱いていて、どのレシピ映像も眺めているだけでほんっとに癒される。まるで清浄な風が吹いたかのよう。
色彩や光も美しく、しかも食材や料理道具の立てる「音」のキャプチャーがすばらしい。ベルギー生活が愛おしく、懐かしくなる。
技術が優れているのは言わずもがな、作業のひとつひとつが正確で丁寧で無駄がなく、すばらしくクリーン。プロというのはこういうことかとため息がでる。



フェーヴは2012年のラデュレのものを隠した。その色合いに合わせて、娘が小さい頃に使っていた道具箱の折り紙で王冠を作成。

ただ、8人前くらいあるケーキのため、家族3人では今夜はフェーヴが出なかった!
また明日...


オーブンから出したてほやほや。



......


公現祭は、もともとが「冬至(クリスマス)の後の太陽の復活を祝う古代ローマの習慣」をキリスト教が取り入れたお祭りだ。

クリスマスの前の時期はどんどん暗くなる死の季節だ。
と、冬至(クリスマス)を境に太陽は再生し始める。

古代ローマには農耕神サトゥルヌスの祭があった。
農耕神は死と再生を司る神である。

そのお祭りの間には、若者の中から「偽王」が選ばれる。偽王に選ばれた若者は「サトゥルヌスの王を演じて、一ヶ月の間ありとあらゆる過激な行為をおこなった後は、おごそかに、神の祭壇に生贄として捧げられ」(以下、「」内はすべてレヴィ=ストロース『サンタクロースの秘密』より)るのである。

なぜわざわざ「偽王」を立てて王様のように好き放題させた後、人身御供にするかかというと、「偽王」に迫りくる闇と死の役回りをさせ、やがてそれらを象徴的にいためつけ、生命の季節の勝利の到来を確実にするためである。

「秋の収穫の後に死に、春蘇る植物の死と再生」する自然界のサイクルを模倣(これが穀物神信仰や農耕神信仰につながる)...

このサトゥルヌスの祭で食べたのがこのパイ。

紙の王冠はもちろん「偽王」を表しているのだ。

......


新型コロナを祓い、再生と希望の季節を迎えるために偽王を立て、いい気分にさせ、そして人身御供に...もちろん現代では象徴的に、である。

英国では一昨日と昨日、新型コロナウイルスの一日の感染者が今までで最多の六万人以上を記録し、昨日は一日の死者(過去28日間で新型コロナウイルスに感染していると診断されていた人のみ)も今までで最多になり千人を超えた。
現在感染している人は、五十人に一人の計算になるそうだ。

しかも行動制限ティア5のロックダウンに入り、2月末から3月までは続くという。
長い死の季節は冬至を過ぎた今も続いているのだ。

一方、ワクチンの一回目を摂取した人は昨日で百三十万人を超えた。

知らず知らずのうち、どこかで偽王が死に、希望と再生の季節がすぐそこまで来ているのか。ならいいのだけれど...


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娘とお揃いaquazzura




11月に21歳になった娘とお揃いのAquazzuraのハイヒールサンダル。お年玉。

娘と同じ靴を履く日が来るなんて想像もしなかった。
娘の方がワンサイズ大きいけど!

アクアズーラはパイナップルのマークもかわいい。
箱もメッセージもかわいい...


素敵な靴は素敵な場所へ人を連れて行くと言う。


現在イングランドは新型コロナウイルス禍で行動規制はティア4(事実上ほとんどロックダウン)だ。
ティア4はクリスマス前に導入されたが、変異株の出現という計算違いもあり、効果なく、明日からティア5(最後の砦、学校も閉鎖)が導入される。

一つの希望は英国では2種類のワクチン接種が始まっていることだ。
シロウトの個人的な印象だが、英国アストラゼネカのワクチンが承認されたことで、今後は保存や輸送がが難しく、高価なファイザーのワクチンが、英国では『VHSに駆逐されたベータビデオのように』尻すぼみになっていくのではないかと。ブレグジットの影響も当然あるし...

昨日の発表では、うまくいけば2月末から3月頭までには優先グループへの接種が完了する予定だそう。わたしと夫は年齢的にそのグループに入っている。


ワクチンが普及し、春が来て、ペデキュアをして、この靴を履いて遠くに出かける日のが待ち遠しい。今年はヨルダンへ行きたい!

「絶望に慣れることは、絶望そのものよりもさらに悪いのである」(カミュ、宮崎峯雄訳『ペスト』1969 新潮社 p.216)


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